お守りか?カウンセリングか?社員の定着化に効果のあるもの

2008.11.24

組織・人材

お守りか?カウンセリングか?社員の定着化に効果のあるもの

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

新卒者の離職はもはや常識となっているかも知れませんが、新卒に限らず既卒中途入社者であっても、入ってすぐ辞めてしまったという例は少なくありません。どうしたものでしょう?

こうしたフォローは新卒においては絶大な効果があると言えます。さらに言えば既卒・中途入社者であっても、これまた「新参者」である不安感、違和感は共通部分が多々あります。それゆえ同じようなリテンション効果が期待できると言えるでしょう。もっとも、中途採用者、さらには管理職・専門職に対して、そこまで「子守」のような面倒を見る必要があるか?という点は各企業のご判断でしょう。

上司による「飲みニケーション」はどうでしょう?
私は外資系企業に長くおりましたが、外国人上司から誘われたり、外国人部下を誘ったりはよくありました。人によって拒絶するタイプもいるでしょうが、私の経験だけとってみれば外国人でも効果がありました。「飲み」が目的ではなく、コミュニケーションの機会を増やすことが目的なのですから、当然といえば当然です。

もう一点。新入社員にとっては、給与条件、ジョブディスクリプション(JD)等の労働条件と現実の齟齬も大きな離職要因になります。管理職・専門職ではまず無いとは思いますが、一般社員では労働条件明示や労働契約も無く採用・就業し、「募集広告と違う!」等の低次元なトラブルが激増しています。条件明示をしない企業と、それを確認せず入社する側双方の無責任だと思いますが、そういうことではなく、しっかり労働契約を交わしていても、携わる業務総てをJDで述べること等実際には不可能です。

私が長年携わってきたマーケティングの仕事は、あらゆる業種の中で最も複雑多岐に渡る「何でも屋」的な融通性が求められます。自身の経験からも「雑用が出来ない人間にマーケティングは勤まらない」と信じております。アシスタントが居なきゃ出来ない、ゴミ捨ては自分の職務でない・・・といった考え方の人間で「デキル」人には会ったことがありません。
採用段階で、こうした人間性、仕事観、姿勢をしっかり見るのは決定的に重要です。これまでかかわった業務において、どのように準備をしたか、どう関わったか、その業務の専門家同士であれば必ず押さえなければならないポイントを知っているはずです。是非面接時には、華々しい成果だけでなく、地味で日の当たらない作業部分について、マネージャー候補であっても聞き取ることが大事でしょう。

まとめとして、事前措置としては、入社前・採用段階で徹底的に性格や考え方を問い質し、「聞いてない」を防ぐこと、入社後措置は(可能であれば)フォローをつけることで、いわばお守り的にメンテすること、これによってリテンションは上げられるでしょう。
するか、しないか、その価値判断含め、お決めになるのは御社次第です。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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