【社会を変えるを仕事にする】(著)駒崎弘樹

2008.11.17

ライフ・ソーシャル

【社会を変えるを仕事にする】(著)駒崎弘樹

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

最近、流行し始めた社会起業のお話しです。理屈がどうというよりも、著者の実体験がストーリー風に語られていて非常に面白いですね。一気に読めます。そして、とても勉強になります。

 目の前に問題がある。それは解決しないと困る人がいる。

 事業で成立させる、ペイするモデルを組めればそのモデルが広がり、社会問題を解決する事業が広がる。世の中が、社会が良くなる。それは、NPOという箱であっても、株式会社という箱であっても関係はないですよね。

 著者の方は、元々学生時代からIT企業の経営者をやってらっしゃったので、ビジネス感覚がすごくありますね。ただ、中小企業のおじさんたちとのコミュニケーションにはちょっと苦労したようですけど。

 社会起業の初期なので、PRエンジンが組みやすかったというか、そういう成功要因はあるとは思いますが、一般的なビジネスの組み方と同じことをされています。お金は少ないけど、インターンやら、プロフェッショナルボランティアをうまく使って、固定費は抑制しつつビジネスを推進されています。

 あと、著者の方の表現センスが素晴らしいですね。一部を紹介しますと・・・(以下引用)

「日本社会の役に立ちたい。」なんてこった。自分がこんなことを思っていたなんて。(中略)ああ、どうしよう。僕は実は「中学生日記」だったんだ。人間NHKだったんだ。

 経済活動がなければ 資本主義は回らない。金を稼いで何が悪い。儲けることが悪ならば、社会主義国でパン屋に並べ。

 NPO業界、怖っ!
 ITベンチャーからNPOへとトンネルを抜けると、そこは魑魅魍魎あふれる世界だった、というわけだ。もちろん、ビジネス界にも怪しい人はたくさん存在するが、一見良心的なイメージのあるNPOの世界でもそれは同じなのだった。
(引用終わり)

 オトコゴコロに染み渡る表現が満載です。 

 今後のビジネス社会を考える上での必読書だと思います。本の帯には入門書とありますけどね・・・。

 私も社会的価値ある事業をしたいと思っています。でもそれは社会問題を直接的に解決するのではなく、普通に事業活動をしつつ社会的価値の強い形を志向しています。

 NPOという形も取ろうとは思わないですけど。でも、普通にビジネスをやる人がある程度、社会的ニーズ優位、かつあこぎに儲けるのではないアプローチを取るだけでだいぶ今のビジネス社会も違うと思いますけどね。現実はそうは甘くない。

 心折れそうな時もありますが、この本に元気を貰いましたね。ぜひぜひ、ご一読下さい。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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