2008.10.28
日本のネット広告費はメディア接触時間に比べればまだ少ない
安田 英久
株式会社インプレスビジネスメディア Web担当者Forum編集長
今日はネット広告に関するお話を。 まず、日本人は各メディアをどれくらい利用しているのか(メディア接触時間)と、日本の企業は各メディアにどれくらい広告費を使っているのかを見てみましょう。
広告費のデータが全国を対象としているのに対して、メディア接触時間は東京エリアのものであるため、少し乱暴なデータの扱いになりますが、各メディアの接触時間と広告費について、それぞれ全体比(4マス+インターネットを全体として計算)をみてみましょう(図1・図2の「全体比」欄)。
テレビがほぼ同じ程度で、接触時間の全体比に対して広告費の全体比が高いのが新聞と雑誌、逆に低いのがラジオとインターネットとなります。
もちろん、媒体の信頼度や、媒体への接触態度(受け身か能動的か)、リーチしたい対象のセグメント、確保したいフリーケンシー(広告接触頻度)など、メディアの特性が異なりますし、各メディアに広告を出す目的も異なるため、単純に比較はできないのですが、インターネットへの広告費の投資は、まだまだ少ないように思われます。
さらに乱暴ではありますが、この2つのデータから、各メディアについての接触時間1分あたりに使われた広告費を参考概算として計算してみましょう。
図3 平均メディア接触時間1分あたりの広告費(億円)
___________________
2005年 2007年
___________________
テレビ 125.6 122.1
___________________
ラジオ 50.5 42.5
___________________
新聞 338.0 335.5
___________________
雑誌 263.2 257.6
___________________
インターネット 57.6 79.1
ここで示した広告費のデータは制作費と広告料の両方を含んでいます。にもかかわらず、テレビCMほど制作費が高くないはずの新聞や雑誌のほうが、メディア接触1分あたりの広告費が高めになっています。
この原因としては業界の構造もありますが、それぞれメディアがターゲット化されていることが考えられます。そもそも新聞を読むというだけで人物像がターゲット化されますし、「経済新聞を読む人」「30代女性向けファッション誌を読む人」「グルメ雑誌を読む人」のように特定のターゲットに対して広告を提示できるため、広告の費用対効果が比較的高くなることが考えられます。
では、インターネット広告の「広告を表示する対象をターゲット化」度合いはどうでしょうか。
これまでは、ターゲット化の強い広告としては、検索キーワードに対応して広告を表示する検索連動型広告が中心でした。しかし、前回のコラムで触れた「ヤフー&オーバーチュアのインタレストマッチ」などにより、検索以外のコンテンツ閲覧行動に対しても、ターゲット化された広告配信のシステムが出てきています。
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安田 英久
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