「結果を出す」ことと「プロセスを重視する」こと―――働く上で、常にこの2つの命題は頭をよぎり、判断や行動に何かしらの影響を与えてくる。イチロー語録から、改めてそのテーマを考える。
・「負けには理由がありますからね。
たまたま勝つことはあっても、たまたま負けることはない」。
・「本当の力が備わっていないと思われる状況で何かを成し遂げたときの気持ちと、
しっかり力を蓄えて結果を出したときの気持ちは違う」―――。
これはつまり、結果が出た(=勝った・記録を残した)からといって
有頂天になるな、結果はウソを言うときがあるぞ、
というイチロー選手独自の自戒の言葉です。
プロセスが準備不足であったり、多少甘かったりしたときでも、
何かしら結果が出てしまうときがときにあります。
そうしたときの結果は要注意です。
そこで天狗になってしまうと、次に思わぬ落とし穴にはまってしまうことが往々にして起こります。
結果におごることなく、足らなかったプロセス、甘かったプロセスを見直し、
次に向け気を引き締めてスタートすることが必要です。
こう考えてくると、「結果」をめぐる問題点は、どうやら二つありそうです。
一つは、「結果を出せ!」とか「結果を出さなくてはならない」といった強要や自縛がはたらくと、
結果主義はマイナスの面が強く出る。
もう一つは、たまたま「結果が出てしまう」ことで、本人に慢心が起こる。
この点に気をつければ、「結果を出すこと」は働く上で重要な意識になるでしょう。
むしろ、結果を求めないプロセスは、惰性や無責任を生みます。
また、結果が出ることによってこそ、それまでのプロセスが真に報われることになります。
要は、結果とプロセスはクルマの両輪であって、
どちらを欠いてもうまく前に進むことはできません。
そして、駆動輪になるのは、言うまでもなく、
日々こつこつと努力を重ねるというプロセスのほうだと思います。
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2008.10.14
2008.10.16
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。