開発購買という言葉もよく耳にするキーワードです。 但し、『共同購買』同様、中々実態は上手くいっていないのが実情です。 どう進めていけば上手くいくのでしょうか?
アジルでは一昨年からアンケートを実施していますが、「開発購買」を重要な課題として認識している企業は3年とも上位を占めています。(本年度では単独回答で第一位、総合で第二位)
一方で特に製造業の約半数(46%)の企業は「期待通りの成果が上げられていない。」と回答しており、開発購買が重要な課題として数年にわたって捉えられているものの、思うように成果を上げられていない実態が浮き彫りになっています。
また、製造業の人材戦略を見てみると全体の70%の企業が「エンジニアの積極登用」を上げていることからも、どちらかと言うと会社全体の仕組みを構築するというよりも設計等の人材を購買に異動させることがその主体的な解決方法になっています。
そもそも「開発購買」とはどういう経緯で生れた言葉なのでしょうか?
私の記憶では、4年前に日経デジタルエンジニアリング主催のセミナーで一般に広まった言葉だと思います。一方で「原価企画」という言葉はそれこそ何十年前から存在するコンセプトであり、自動車等の一部の業界では「新製品原価企画会議」という決議機関があるだけではなく、そもそも製品担当主査や開発者がある一定の原価目標を設定して、その枠内に原価をおさめていく活動は普通にやられています。
原価企画、フォワードエンジニアリング、開発リードタイム短縮、開発購買 等等、言葉は変わっているものの、やっている内容はコストの側面からは同じことです。
私は自動車会社で原価企画、購買を経験してきましたので、その当時、何故、他業界で「開発購買」が上手くいかないのか?不思議でしょうがありませんでした。但しいくつかのプロジェクト経験を経て、やはり上手くいかないのです。正直アンケートの結果にも納得してしまいます。
何故でしょうか?
一番大きな違いは「意識」の差と「仕組みの適合性」ではないかと考えています。
意識とは、究極的には経営トップであり、設計部門のトップの意識だと思っています。一般的に製造業の設計部門と購買部門では設計部門が力を持っており、多くの企業でコスト低減は設計の仕事ではないようにいまだに捉えられているのが現実でしょう。
何か大きな構造変化がない限りこの「意識」を変えることは至難の技です。
一方で「仕組みの適合性」はどの企業でもチェックできます。
設計者は新製品を開発する際に知りたい情報が山ほどあります。それらの知りたい情報を的確に提供できる仕組みがその企業に適合した仕組みだと思いますが、それができていません。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。