良くキーワードとして『共同調達』という言葉が出てくるが、実態としては上手くいっていないのが実情である。 共同購買を上手く推進するためには、どうすれば良いでしょうか?
先日あるお客さん先に訪問した際に購買業務の難しさをまた実感しました。
その方は、10年以上日本企業、外資企業の購買をやってこられた方だったのですが、最近またある外資系企業に転職され、購買の立上げをやられています。
その方がおっしゃるには、「購買業務の難しさを感じる。それは、以前の会社であれば、量的なメリットを生かしてマーケットでも相当な安い価格を引き出すことができたが、(現在の会社では)購買金額が小さく、またブランドを生かした交渉もやりにくい」ということでした。
これは、このお客さんだけでなく、多くの中堅・中小企業に共通して言えることでしょう。
コスト低減活動や外部への支出を最適化するというソーシング業務の基本は「相見積(競争)」と「コスト推計(妥当性検証)」だと思います。
ただ、これも全ての細かな企業の買物まで網羅的に実施することは非常に手間のかかる非現実的な話です。
多くの中堅・中小企業の経営者は購買業務の重要性は認識しているものの、手間とそこから得られる効果を推測して、あまり購買業務に力を入れていないでしょうし、翻って私自身経営者ですが、細かく仕様書を作成して、全ての支出に関して見積合わせをやっているかといえば、やっていないのが実態です。
そこで出てくる考え方が共同調達です。
これは多数の企業の購入を集約してボリュームを集め、より有利な契約条件を引き出すというものです。理屈としてはその通りなのですが、物流の共同配送と同様、推進は非常に難しいというのが実態です。
以前マーケットプレイスという考え方が流行しましたが、基本的な考え方は「Webサイトを通じて、売りたい人間と買いたい人間をマッチングさせる」ということです。このマーケットプレイスを活用して共同調達を行わせるというコンセプトもありましたが、殆ど上手くいっていないのが実情です。
一方、私も過去多くの共同調達案件に関わってきましたが、特に大企業の事業部やグループ企業を跨ぐような共同調達は本当に難しい。
私は今後の共同調達の成功する進め方は2つの類型があると思っています。
一つは「コバンザメ方式」です。
先のお客様の話ではないですが、1社の購買金額では限界がある中で、第三者もしくは、大手企業がまとめた、より有利な契約に乗るという方式になります。
ただ、この場合は汎用的な物品等の多くの企業にとってニーズがあり、また特殊なニーズが入りにくいものの購買に限定されます。一方で、企業にとって、ある要件を我慢すれば、100円のものが70円で購入できるのであれば、そのスキームを利用して上手な買物をしたい、というニーズは高いと思います。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。