現代はIT社会。ありとあらゆるデジタル機器にソフトウェアが必ず組み込まれている。プログラムあるところ、必ずバグも存在する。そこで必要不可欠な作業となるのがデバッグだ。日本唯一・デバッグ専業企業として上場を成し遂げたデジタルハーツ社の軌跡を辿る。
今年2月の上場後同社は、新たに消費者を対象とした『fuguai.com(不具合・ドット・コム)』を立ち上げ、矢継ぎ早に海外進出の研究部門も設置した。デバッグが日本人に適性のある仕事だとすれば、同社のフィールドは一気に世界に広がるだろう。デバッグというブルーオーシャンを切り拓いたデジタルハーツ社の成長は、もしかしたら今後の日本の国力にも影響を与えるのではないだろうか。「Made in JapanからChecked by Japanへ」の転換、それはこれからの日本という国家全体の生き残り戦略にも関わる大きなテーマである。
▲エンドユーザー向けのサービスとして、不具合情報のポータルサイト『fuguai.com』を2008年7月から立ち上げた。
~特集インタビュー
「日本唯一、デバッグのプロ集団・デジタルハーツ社上場への道」完~
『株式会社デジタルハーツ関連リンク』
・株式会社デジタルハーツ
http://www.digitalhearts.co.jp/
・あらゆる製品の品質と安全の向上を応援する、不具合情報のポータルサイト
fuguai.com(不具合・ドット・コム)
http://www.fuguai.com/
【Insight's Insight】
デバッグ専業で起業する。
この発想にたどり着いた時点でおそらく、デジタルハーツ社の成功はほぼ約束されていたのではないだろうか。デバッグという業務に対するニーズは明らかに顕在化していた。そして、そのニーズが今後膨張していくことも、ほぼ確定した未来図だったのだから。
一方で所詮デバッグなどはアルバイトにやらせる補助作業、といった常識を疑う企業は一社もなかった。そこにチャンスありと見たデジタルハーツ経営陣の鋭い着眼点が成功の要因である。
仮にバイトがやっている作業を、それなりのノウハウとスキル、さらにプロ意識を持った人間が企業業務の一環として請け負えばどうなるのか。コストパフォーマンスで圧倒的な優位に立てることは自明の理である。しかも、そのことに気がついている競合は他にない。まさにブルーオーシャンである。
ただし、創業時の同社のような超零細企業が、ブルーオーシャンに乗り出すときには、極めて大きな障壁が待ち構えていることも覚悟しなければならない。何しろ、これまで世の中になかった業種・業態なのである。その内容をクライアントにいかに説得するか。その難しさは想像を絶するものとなる。
この壁をブレイクスルーした同社には、確かに幸運の女神がついているのだろう。しかし、その女神を引き寄せたのは、どんな仕事に決して手を抜かない真摯な姿勢と、早くからデバッグ業務のノウハウ化に取り組んだ慧眼があればこそ。おそらく世界を見渡しても、まだデバッグ専業企業はほとんどないはずだ。同社が今後、どこまで伸びるのか。その未来像は日本にとっての一つの期待の星である。
◇インタビュー:竹林篤実/川村真理 ◇構成:竹林篤実
◇フォトグラファー:大鶴剛志 ◇撮影協力:㈱オンボード
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
FMO第14弾【株式会社デジタルハーツ】
2008.09.22
2008.09.16
2008.09.09
2014.09.01