非営利からのパラダイムシフト(後)

 公益法人には、主に社員の会費で運営さる「社団法人」と主に基本財産で運営される「財団法人」の2種類があります。

 【前篇】では、日本相撲協会を一般企業にたとえて話しましたが、日本相撲協会は文科省管轄の財団法人です。

 「保身のために力士をヒールに仕立てる相撲協会に明日はない」と言いたいところですが・・・。おそらく、観客や懸賞が激減したとしても、相撲が存亡の危機に瀕することないでしょう。

 相撲を古典芸能として存続させる道もありました。しかし、相撲協会は(ファイティング)スポーツの道を志向しました。若乃花を最後に、その後の横綱は全員外国人、9月場所の「三役」の半数は外国人です。外国人力士に依存する傾向が増しています。もう、純粋な古典芸能の世界に方向転換することは難しいでしょう。

 A.観客の集まる興業をうつ
 B.日本の伝統文化を守る

 従来の発想では、この2つは矛盾したことと考えがちです。矛盾を続ければ、いずれ困難に直面し限界に至ることとなります。

 しかし、これからの時代に本当に追求しなければならないのは、どちらか一方を生かす発想ではなく、従来のジレンマを両立させてコーディネート(調整)する発想です。

 AとBは、どちらか一方を切り捨てることも軽視することもできない重要な要素です。ここに、“選択と集中”のセオリーを持ち出すのは適当ではありません。

 先のモンゴル巡業での朝青龍のリーダシップは、朝青龍に相撲以外にも才能があることを感じさせてくれました。この才能を活かせない相撲協会並びに関係者を、私はほとんど期待できないと思っています。

 ジレンマの両立は苦しいことではなく、楽しいことの中にあるように思います。AかBのどちらかを選択するのではなく、両方を実現させる第3の選択肢がベストの選択といえます。

 パラダイムシフト(発想の転換)が必要なのは、角界に限ったことではありません。

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 地方公共団体の財政の健全化に関する法律(地方自治体財政健全化法)が来年4月に施行されます。そのため、同法に基づく自治体の評価が2008年度決算から始まります。

 道府県、市町村及び特別区といった地方公共団体は毎年度、4つの健全化判断指標(実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率)を算出し、監査を受けた上で議会に報告し公表しなければなりません。

 4つの指標の1つでも早期健全化基準を超えた場合は「自主再建する早期健全化団体」となります。さらに、将来負担比率を除く指標のいずれかが財政再生基準を超えると「国の監督を受ける財政再生団体」となります。

次のページ今後、公益法人は自らの存続のために利益を出す発想が求め...

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