現代はIT社会。ありとあらゆるデジタル機器にソフトウェアが必ず組み込まれている。プログラムあるところ、必ずバグも存在する。そこで必要不可欠な作業となるのがデバッグだ。日本唯一・デバッグ専業企業として上場を成し遂げたデジタルハーツ社の軌跡を辿る。
「初仕事の評価は非常に高かった。なるほど、確かにデバッグ専業をセールスポイントにしているだけのことはあると認めてもらえましたから」
新しい事業を始めて、もっとも苦労するのが一人目のお客様を開拓すること。一社目を開拓できれば、そこからのつながりが生まれるだけでなく、開拓プロセスでの学びが次の顧客を見つけるためのノウハウとなる。
「我々の強みは、どうやら自分たちが積み重ねてきたノウハウにあること。ノウハウを活かせば、顧客のプログラマーさんにわかりやすいレポートを提供できること。こうした質の高いサービスはバイトでは絶対に提供できないこと、つまり我々が提供できるメリットは、確実に差別化ポイントになることがわかってきました」
デバッグ専業をいくらアピールしても、顧客にはその価値がなかなか理解されない。ましてや、これまで世の中に存在しなかった業種なのだ。ところが、デバッグ専業という言い方ではなく、プログラマーにわかり易いデバッグレポートを短期間で、しかもアルバイトを多く雇うよりもコストも抑えて提供できる企業だとアピールすれば、顧客もすんなりと理解してくれる。
「セールスポイントはデバッグのプロ集団であること。こう言えば良かったのです。アルバイトに頼むよりも、よほどコストパフォーマンスが高くなりますよと。我が社ならアルバイト100人分ぐらいの仕事を同じぐらいの期間で、しかも高いクォリティでこなせる。これぐらいのことを言って、ようやく顧客も納得してくれるようになりました」
顧客にとっての自分たちの価値を明文化できれば、話は見えやすくなる。ブルーオーシャンを一目散に突っ走っていくのだから、競合など一社もない。最初の顧客から受注した案件が終わるのとほぼ同時に2件目の仕事が入ってきた。
「その次ですね、我々にとってターニングポイントになる話が転がり込んできたのは。2社目のクライアントさまから教えてもらったのが、自社製ゲーム機を開発して業界に乗り込んできた世界的規模のコンピュータ・ソフトウェア会社の日本参入でした。ここを狙ったらどうかとアドバイスしてもらったのです」
まだまだちっぽけだったデジタルハーツ社は大胆にもその案件にチャレンジ、奇跡的に超メジャークラス企業からデバッグ業務を受注することになる。
▲【デジタルハーツHP】
ホームページは、バグをシンボライズするてんとう虫がデザインアクセントとなっている。
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FMO第14弾【株式会社デジタルハーツ】
2008.09.22
2008.09.16
2008.09.09
2014.09.01