もう一度読み返したい本: 【知識デザイン企業】 (著)紺野登 氏
■ 一方、「創造的パラダイム」とは、分析でなく「仮説」をもってビジネスに挑む。ただし、正解を当てようとして仮説を立てるのではなく、複数の方向性を考え、マルチ・シナリオ的な視点から戦略を考える、つまり、過去の分析から得る差別化を図るアプローチではなく、多元的な未来を見ていく目を持つというものである。
■ 創造経済においては、イノベーションは「たまたま起こること」ではなくて、組織の日常の問題になっていく。それは、組織の現場レベルにおいて、不断の創造革新を起こせるような、知識創造の型やプロセス、場やネットワークが、文化として組織に埋め込まれてなければならない。
■ 20世紀を制してきた技術志向の品質カンパニーに代わって、21世紀の創造経済を引っ張るこの「アート・カンパニー」は、分析的方法論でなく、創造的方法論を組織や戦略に埋め込んだ企業である。
■ このような「アート・カンパニー」における創造的な方法論を、「知識デザイン(knowledge design)と呼ぶ。これは、従来の狭義でのデザインとは異なり、デザインとの関わり方、デザインの活用の仕方を転換し、デザインを組織の知として活用することである。
~「モノ<プロダクト>」の概念が変化した~
■ どうして日本のIT産業は遅れを取ってしまったのか。その原因は、多様な要素、離れた問題、バラバラに存在する知をネットワークし「綜合(synthesize)」して新たな価値を生む能力が多くの日本企業には欠如しているからである。
■ 知識化とは、ハードを捨ててサービスに移行することでなく、ハード、ソフト、システム、サービス、ビジネスモデルなど、個別に部分として扱われてきた要素を綜合、まとめ上げる知的作業である。 知が分断され、知を結集する方法を知らない企業は、それゆえに未来創造の発想に至ることができない。
■ これからの「モノ(プロダクト)」の概念を変える3つの軸として、「時間」「感情」「社会」がある。
■ 企業と顧客の両者は一回きりの単発な商品の交換ではなく、時間軸に沿って、利用過程という経験として、知識と価値を「共創」していく。そこでは、「時間」が極めて重要となる。顧客との時間軸に沿った生産・消費プロセスの共有/コラボレーションが生まれ、時間の進行に沿って価値(利益)が生まれる。
■ 2つ目の新たな製品要素は、主観的なあるいは「感情」的な要素である。これまでの経済的・無機質的資質を重視する客観的・分析的な経営ではなかったが、創造経済の時代には、製品の感覚的価値・文化的価値などが問われるようになる。
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【もう一度読み返したい本】シリーズ
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2008.04.10
2007.10.01
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2007.09.13
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