『なぜ君は絶望と闘えたのか』本村洋の3300日(門田隆将/新潮社)読了後の感想です(いわゆる「書評」とは少し趣が異なりますので、ご了承下さい)。
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『なぜ君は絶望と闘えたのか』本村洋の3300日(門田隆将/新潮社)
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昨日購入、一気に読み終えました。
本村洋氏。ご存知でしょう、光市母子殺害事件の被害者の夫です。
彼の姿に大変共感を覚えていたため、今回購入しました。
まず最初に断っておきます。
本著は、いわゆる「お涙頂戴」ものではありません。
3300日のノンフィクション、「事実」を赤裸々に伝えている書籍に他なりません。
従いまして、事件の様子、判決文、その他、生々しい表現が多いため、事件に「入り込む」「向き合う」「直視する」勇気がなければ、書籍を開かない方がよいと思います。
その上で、僕が皆さんに伝えたいのはー
「いとおしさ」
こんなに伝わってくる本はかつて読んだことがありません。
人間愛、とくに家族愛。
震え、読了後涙が止まりませんでした。
決してそれは、同情の涙ではなく、誰かをすぐに抱きしめたい、妻を、子どもを…
そんな気持ちにさせてくれる書籍です。
残虐な事件そのものからはおよそ想定もつかない「やっぱり人間社会って素晴らしい」という感覚を心から呼び起こしてくれたことに、本当に感謝いたします。
本村洋氏に、そして、亡くなられた2人の母子に…。
残虐な描写や、凄惨な表現。人はなるべく遠ざかりたいですし、遠ざけたいとも思います。
しかし、事実自体が残虐であり、凄惨であるならば、その事実に対して、社会全体が必要以上に蓋をすると、残虐“ではない”、凄惨“ではない”、いわゆる「フツウ」の生活のありがたみを忘れる部分があります。
「人権」という、なんだかよくわからない2文字のために、社会全体が必要以上に(残虐、凄惨な)事実そのものに蓋をしてはいけないんです。
ましてや、そのような事実に対し、表面的に同情してありきたりの文言を垂れ流すコメンテイターや、残虐・凄惨さだけが誇張されるようなトーン・タッチをブラウン管に出すTVニュースのようにはなってはいけないのももちろんのことです。
注)すべてのコメンテーターやTVニュースがそうであるわけではないことを断っておきます。
事実を伝えること。事実を直視すること。
本当に、本当に、大事なことなんですね。
本の帯にある、本村氏の上司の言葉です。
事件後、会社に辞表を提出しようとした本村氏にかけた言葉。
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