良循環の医療システム(後編)

2008.07.17

経営・マネジメント

良循環の医療システム(後編)

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

歯医者さんの数は、 実はコンビニより多いのだそうです。 このため、過当競争に陥っており、 歯科医院の経営は大変厳しい状況です。 実際、年収が300万円程度の歯科医師が 5人に1人もいると言われており、マスコミでは、 「歯科医師のワーキングプア問題」 がしばしば取り上げられるほどですよね。

実際、小さい頃からPMTCを受けている人の中には、
小学6年生の時点でも全永久歯でムシ歯ゼロという子供さん
がいるとのこと。

実は、開業当初は、この「予防医療」の考え方を
患者さんに理解してもらうのにはとても苦労したそうです。

「とにかくこのムシ歯を治してくれればいいから」

といった患者さんがほとんど。

しかし、ムシ歯は普段の生活習慣に起因するものです。

仮に今のムシ歯を治療しても、
文字通り「対処療法」に過ぎません。

しばらくするとまた同じところや別のところが
病気になり、再び治療しなければならなくなるのです。

そこで、現在罹っている病気の治療だけでも、
また病気を早期発見することだけでもなく、
そもそも病気にならない

「予防」

の重要性を馬見塚院長は患者さんに説き続けました。

「患者さんにとって本当に良い医療とは何か」

を重視し、「治療してくれればいい」といった
お客さんの目先の治療ニーズに安易に迎合しなかったのです。

そして今や、当クリニックの来院者の8割は口コミ。

ほぼ全員が、当クリニックの「健康創造型歯科医療」の理念や、
PMTCについての基本知識をWebサイトで理解し、納得した上で
やってくるので、もはや「予防」の重要性を時間をかけて
説明する必要はほとんどないそうです。

当記事前編では、

「良循環の医療システム」

の基本的な方向性として

・「医師に会う時はすでに患者」という状況を抜け出し、
 医師と患者の対話を促進し、関係性を改善する

・開業医と勤務医のインフォーマルな連携プレーを促進し、
 医療の生産性向上と勤務医の時間の余裕を生み出す。

・「国民医療費」というコスト発想ではなく、
 「国民医療消費」という「価値」の消費へ発想転換する

の3点をご紹介しました。

歯科医院の場合、2点目の「開業医と勤務医の連携」に
ついてはあまり該当しないものの、

・医師と患者の対話促進、関係性改善

および

・「国民医療消費」という「価値」の消費への発想転換

については、
馬見塚クリニックでは現実のものとなっていることが、
以上の説明からご理解いただけたでしょうか?

*馬見塚デンタルクリニック
http://www.118md.jp/index.asp

*本記事は、馬見塚デンタルクリニックのWebサイト、
 および、馬見塚デンタルクリニック院長、馬見塚賢一郎氏
 のご講演に基づいて作成しました。

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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