日本のCRM市場を牽引する、
シナジーマーケティングの秘策3

2008.07.15

開発秘話

日本のCRM市場を牽引する、 シナジーマーケティングの秘策3

INSIGHT NOW! 編集部
インサイトナウ株式会社

日本はマスマーケティングが効かない社会となりつつある。求められるのは「マス」から「One to One」への転換だ。そのためのCRMソリューション分野で高いシェアを誇り、業界を牽引するシナジーマーケティング社の極めて独創的なマーケティング戦略に迫る。

第3回 
「他社が絶対に追随不可能なモデルを創る」

■「ようわからんけど、できたらすばらしいやないか」
「社長、そんなシステムありえへんわ。お願いやから、そんな無茶苦茶なこと言わんといてください」

谷井氏がASPで事業を展開する構想を固め、製品要件を技術スタッフに明かした時の反応である。

「彼らには、僕のリクエストがいかにとんでもないかがすぐにわかったんでしょうね。作りたかったのは、巨大な汎用データベースとでもいえばいいんでしょうか。個別の企業様の多様な要望に対応しながら、さらに各企業様のデータベースが、我々がもつメタデータベースみたいなものの中で一元化されている。そんなイメージですね。しかもそのシステムに何千という企業が同時にアクセスして、利用するという。SEからすれば、僕の考えていることは常規を逸していると思えたかもしれない」

企業はそれぞれ自社の仕様に基づいた顧客情報を持っている。たいていは顧客の名前から始まり、住所や年齢、職業などの属性がデータ化されているわけだ。この顧客データに対して、各顧客の購買履歴や問い合わせなどの履歴情報をヒモ付けていくのが、CRMのデータベースである。おのずと、100社あれば100通りのデータの持ち方がある。だからCRMデータベースといえば、必然的に企業ごとにカスタマイズされた設計にならざるを得ない。

「我々が目指したのは、あくまでもフリーフォーマット形式です。たとえば顧客登録情報も履歴情報もマーケティングコミュニケーション機能も、多様なメニューを用意しておいて、さらに企業様が自由に要件を組み込めるようなデータベースですね。これなら完全にASP化できますから」

ASPといえば普通は、ある程度メニューが決まっている。顧客はそこから自社のフォーマットにより近いものを選んで使うことになる。フルオーダーを諦める替わりに、コストメリットを得る。本来ならそこには当然トレードオフの関係があるわけだ。

「CRMのための理想的なデータシステムを追求すれば、そういうものは確かにあるのかもしれません。しかし、市場が成長期にさえ入っていない段階で、そんな悠長なことを言っていては何も始まらない。まず、一社でも多くの企業様に使ってもらい、そこから成功事例をどれだけ早く多く創りだせるか。我々は時間との勝負に賭けたわけです。CRMにおける成功事例が生まれれば、新たにCRMに取り組む企業様も増えてくるはずだと考えました。」

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