前編からの続きです。 少子化やパラダイム変化によって、かつてに比べ、ぐっと「失敗」「挫折」を経験することが減ってきた若者たち。優しい彼ら彼女らのメンタリティですが、時として「キレる」という牙も持っています。さらにその牙を行使するための場も出来ました。
「超売り手市場」という環境下で、その上優しい心根を持つ今の若者たち。
しかし一方で秋葉通り魔事件を始めとする凶暴・凶悪な事件も続発しています。何時の頃からか「キレる若者」が社会を騒がせるようになってきました。「優しさ」と「キレる」という両極端の感情が同居している。どんなに優しく見えても、キレる時は即キレる。またその沸点の低いことがエスカレーションを呼ぶのでしょう。また今の子供たちは少子化ですから、ガキ大将を中心とする子供ソサエティの経験も乏しい(まず無い)生育環境ゆえ、優しい子が一気にキレまで行くのです。私のような、「ザ・昭和のガキ」は、ケンカでも、イントロから始まって、徐々にエスカレート、しかし犯罪になるような最後の一線は踏まない、のような段取りはわかっています。そういった段取り知らずの子たちが武器を持ったらどうなるでしょう。
もちろんここで言う「武器」は物理的攻撃を行うための本物のWeaponではありませんが。
私が就職活動をした20年以上前はバブルも来る前であり、今思えばのどかな時代でした。就職面接で「男は黙って・・・」とその会社のCMコピーを言ったら通ったとか、内定辞退を告げに行ったらコーヒーをぶっかけられ、クリーニング代1万円を渡された、なんて都市伝説がまことしやかに言われた時代でした。
今は面接の内容や報告がリアルタイム、とまでは行かないにしても、事後すぐにインターネットの就活情報交換サイトに上がります。何しろネットカフェは街のあちこちにあるし、何より今やケータイで簡単に情報アップが、いつ・いかなるところでも可能だからです。
「みんしゅう」等の就活情報交換サイトは今やビッグビジネスとして巨大な市場を形成し、そこまで大きくないものであっても個人レベルのサイトやブログも含めれば無数に登ります。さらに巨大掲示板、SNSと、正に情報の洪水、いや鉄砲水の如き環境が形成されています。
ネットリテラシーはネットの発達とともに少しは向上して来ているとは思いますが、こと「就活」となれば、やはり未知の領域だけに学生たちはそうそう冷静には受け止められないと言えるでしょう。例えば「本気(ガチ)でやればマサ斉藤が最強だってよ」という程度のウワサであれば「ホントかよー、今はもう無理だろ」とか「マジだって」と、いろいろ素人なりの推論等も出来るのでしょうが、「学部3年の7月にコンサル業界志望を決めてないと手遅れだそうだが、どうすれば良いでしょう」というウワサには、全く対処出来ないのです。無責任なウワサへの抗体が非常に低いのに、そうした虚実(いやほとんどが「虚」?)の情報洪水に流されて行くのです。
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2010.03.20
2015.12.13
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。