小売店の「業態別」の成長(成熟)度合いを把握するため、 「製品ライフサイクル」 に当てはめてみます。
詳細な解説は末尾に示した参考記事をご覧いただきたいのですが、
「相手プレーヤーの戦略が変わらない時に、
自分1人だけ戦略を変えても利得が増えないような状態」
と言える
「ナッシュ均衡」
をどの店舗も選んでしまうために同質化が起きるのです。
総合量販店は、前述したように、
基本的に商圏内の「最大公約数的ニーズ」に対応する
店づくりを目指しています。
端的に言えば、大量に売れそうな商品しか置かない。
ここで、ある店が差別化のために、
あえてユニークな商品を入れたらどうなるかというと、
好き嫌いが明確に分かれる商品ですから、
たくさんは売れませんし、競合店に客が流れてしまい、
売上が低下するのは明らかです。
したがって、お互いナッシュ均衡を選ぶしかないというわけ。
なお、このゲーム理論による説明は、
覇権を狙う大手政党(米国における共和党と民主党、
日本における自民党と民主党)の政策がどんどん
似通ってくることにも適用されています。
選挙で少しでも多くの支持者を得ようと思ったら、
過激な政策ではダメ。
むしろ、多くの支持者が拒否反応を示さないような、
中庸で無難な政策をお互い打ち出すしかないですし、
また競合政党の政策の中で支持率の高いものがあれば、
やはり競争上、類似の政策を掲げて支持率を高める行動を
取るしかないからですね。
*総合量販店の同質化についての研究
「GMS激突競争における競争マイオピア」
(田村正紀氏、同志社大学教授、)
*ゲーム理論による店舗同質化についての参考記事
「経済学で斬るビジネス潮流 ゲーム理論」
(文:広野彩子氏、監修:安田洋祐氏、政策研究大学院大学助教授)
日経ビジネス マネジメント、Summer 2008
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2010.01.28
2009.10.27
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。