今年もやってきた。ペプシ好例の「ビミョーな味のコーラシリーズ」。 その存在理由と、さらに主力商品であるネックスのこだわりを考察してみる。
一連の「ビミョーな味」のコーラは、前述の通り、「これはコークでは出さないだろう!」という市場全般の驚きと、飲んだ人なら二度と忘れないという、徹底した差別化のために投入されている商品ではないかと思う。
しかし、差別化は主力商品にこそ、見えない形で徹底されているようだ。
コーラ飲料で両雄が火花を散らしている「コカコーラ・ゼロ」と「ペプシ・ネックス」。
ネーミングに賛否はあるが、わかりやすさを取ったコカ・コーラに対して、ペプシはパッケージに「ゼロカロリー」の表示こそあれ、商品名にはしていない。ゼロカロリーだったり、ダイエットだったりというネーミングからくる「太らないけどイマイチ」という連想を避け、味で真っ向勝負したかったからだという。
こだわりの現れの一つは、甘味料特有の味を隠すためと、味わいの深みを増すために、「レモンを少し混ぜる」という技だ。レモンフレーバーを用いることは、実はペプシの得意技なのだが、フレーバーコーラとならないよう、レモン味が明らかに感じられない程度のさじ加減をしているのだ。
こうして考えれば、キューカンバーやブルーハワイのような限定コーラも、そこそこ美味しく、誰にでも受け入れられる味に仕上げることは難しくないはずだ。
しかし、あえてそれをしない。なぜなら「チャレンジャー」だからだ。誰からもそこそこ好かれるのでは、差別化にならない。
「二度と忘れられないビミョーな味」と、主力商品は巧みな技を使って深みのある「美味しいコーラ」に仕上げる。
業界のリーダーはただ1社。それに攻撃を仕掛けられないのであれば、独自の生存領域を確保し、ニッチャーとして小さくまとまるか、フォロアーとして縮小均衡から衰退の道を辿るかしかない。どうせならチャレンジャーとして雄々しく戦ってみたいではないか。
チャレンジャーとしての、ペプシの大胆さとこだわりは、大いに見習いたいものである。
※後半の「ペプシ・ネックス」に関する記述は「Business Media誠」に2007年06月28日に掲載された記事を参考にしました。
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0706/28/news042.html
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2008.07.01
2008.07.17
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。