世の中を一律に見ずに、きちんとセグメンテーション(区分)して、ターゲットを選定する。そして、ターゲットには、その商品を本当に必要とするニーズがあるのかを見極める。ビジネスの世界では極めて基本中の基本だ。・・・だが、残念なことにその基本が忘れられるのがこの国の悪いところのようだ。
6月10日に「”自主サマータイム”のススメ」という記事を書いた。
http://www.insightnow.jp/article/1502
毎年繰り返される「サマータイム導入議論」だが、世の中にそれを必要としている人もいれば、必要としていない人もいるので、一律導入ではなく、必要な人は「早起き」すればいいではないかという、筆者の持論を展開した。
ありがたいことに、読者の方から、同感であるという旨と<サマータイムの件に限らず、国の一律的なものの決め方に不安を覚えてやまない毎日です。>というコメントをいただいた。
どうやら今回もサマータイム導入は見送られるようだが、それよりもものすごい「一律政策」が展開されようとしている。
※以下の内容はコラムニスト・勝谷誠彦氏のメール「勝谷誠彦の××な日々。」を参考にしています。
<地デジ受信機支給へ 生活保護107万世帯に>
http://www.asahi.com/digital/av/TKY200806100268.html
アサヒコムの記事によると総務省は<デジタル化される地上波テレビ放送を視聴するための専用チューナーなどの受信機器を、経済的に購入が厳しい生活保護世帯に現物支給する方針を固めた。>とある。
対象はまず、標題の通り全国107万世帯で<支給額は50億円を上回る>という。
しかし、107万世帯、50億円で終わりではなく、生活保護世帯、NHK受信料の全額免除世帯、高齢者のみの世帯、障害者世帯も支援対象として検討しているとのことで、最終的には合計、1,687万世帯となる。
1,687万×5千円=843億5000万円。
もう一つ気になるのは、総務省は先行する107万世帯への配布、50億円強の前提も、現在2万円程度のチューナーを5千円程度にできるよう、メーカーに開発を依頼しているということだ。確かにメーカも大量に生産すれば、いわゆる「規模の経済」や、生産効率の向上による「経験効果」で低価格化は可能であろうが、本当に4分の1まで低下するのだろうか。4分の1にならなければ、予算規模は簡単に1千億を超えるだろう。途方もない大事業ではないだろうか。
しかし、本当に必要な政策であれば、予算投下はなされるべきだろう。1千億円投下の理由は、地デジ対応機器の購入が経済的にできない人にとって<テレビ放送は生活に必要な情報を提供しており、地デジへの完全移行までに必要な対策を講じなければ、日常生活に支障を来す恐れ>があるからだという。
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2008.07.08
2008.07.13
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。