皆さん、誰に借りがあり、誰に貸しがあるかを考えたことがありますか?無意識の借りがあったとしたらどうでしょう。
「付き合い始めは気を使ってくれたり、
有名なレストランに連れてってくれたのに、
結婚した途端、何にもしてくれなくなったのよ」。
よく聞く、奥様方のご主人に対する不満です。
釣った魚に餌をやらないとはよく言ったものですが、
その代償は結構大きかったりします。
定年後の熟年離婚、
あるいは離婚しないまでも家での粗大ごみ扱い。
このような奥様方の心理を覗いてみましょう。
自分は相手に大事にして貰っている、
だからこっちも相手に優しくする、
すると相手もまた優しくしてくれる。善の循環です。
ところが優しくして貰うのは当然だ、
と相手が判断し、お返しが無くなったとしたら、
優しくしている方は損をした気持ちになり、
不満だけが残ります。
損?そう、実はこれは貸し借りの問題なのです。
人間は動物ですから当然個人の生存が本能的な判断基準となります。
自分にとって快適な状態を保つのが大事なのです。
でも人間は社会的動物でもあるため、
自分に対してだけでなく、仲間同士でお互いにとって快適なこと、
相手が自分でできない事をしてあげるような行動もとります。
猿の毛繕いをイメージしてください。
さて、相互に相手のために何かするのは労力的には
相殺されてリターンはプラスマイナスゼロです。
心理的には気分がいいので多分加点されるでしょう。
自分の労力はかかり、相応するものが帰ってこないと
労力的にはリターンはマイナスです。
心理を加算するとダブルでマイナス。
そして人間はどこかで帳尻を合わせようとします。
清算をしたくなるのです。それが30年後であっても・・・。
ですからこの法則に則り、
人間関係における貸し借りを
信用残高になぞらえる研修も存在します。
良好な人間関係を築き、維持するためには、
少なくとも自分側から相手に何か
プラスのことをすることが必要だからです。
相手からの見返りは無いかもしれませんが、
奉仕の精神でまずは自分から。
ところが現実ではなかなかそうは行かないですよね。
やはりなぜ自分ばかりが、とか思ってしまいます。
私の知っているある社長は徹底的に初対面から何回か、
相手に奢ったり、サービスをして圧倒的な相手に対する
「貸し」の状態を作り上げます。
これは後々、頼み毎をする時に相手に
「借り」の感情があると
自分のために動いてくれる確率が大きくなるからです。
彼の凄いところは、それをさらっとこなし、
相手がお世話になった、恩返しをしたいと感じるよう、
持って行けるところです。
やり方が下手だとただの嫌味なやつになってしまいます。
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2008.06.19
2008.06.19
横井 真人
産業能率大学 教授
個人と組織のパフォーマンス向上を研究。人の行動をスキル、知識、行動意識、感情能力、価値観等の要素に分解し、どの要素が行動に影響を与えているかの観点からパフォーマンスを分析。職場のコミュ二ケーション、リーダーシップ、チームビルディング、ファシリテーション、ソリューション営業、マーケティング等の具体的施策に視点を活用する。