長年調達購買機能の主要機能であると考えられていた「相見積り」と「価格査定」業務が、昨今の事業環境変化やデータの不整備によって限界があることが分かってきました。 そして、期間での買い物に対する機能として、新たな横串機能での機能、役割が求められるようになっています。 今回はこの変化や新しい主要機能について、説明していきます。
従来、多くの企業は、価格妥当性の評価を、品目ごと・購買機会ごとに単発で行ってきました。しかし、これをある程度のまとまり(カテゴリー・サプライヤ)で捉え直し、入口から出口まで、「一連の期間を通じて、最適な買い物を担保する」という発想に立てば、先に述べた相見積りや査定の限界を、構造的に乗り越えられるのです。
実際、T自動車のような企業では、個別の原価交渉だけでなく、工場全体の期間原価を管理し、サプライヤの生産性・技術力向上や投資効果を促す「総合見積」のような取り組みを行っていると聞きます。見積りという視点でとらえると、単にコストという側面での事例ですが、「個別」ではなく「期間」で適切な買い物を担保する、という発想は、コストだけでなく、技術や品質、納期、その他の様々な効果にもつながる話です。
このような事例をあげると、自社ではそのようなデータもスキルもない、とか、そもそもサプライヤが期間原価の管理に協力してくれない、などのやれない理由から入る方も多いでしょう。しかし、「期間での買い物」として捉え直したときに、考えなければならないのは、入口、中間、出口です。そう考えると、これからの調達購買業務のあり方が分かってきます。
「期間の買い物」として捉え直したとき、その入口から出口までを担うのは、このメルマガでも取り上げてきた、次の3つの機能なのです。
入口:開発購買の推進――開発上流段階から情報提供や提案を行い、価格だけでなくQCD全体を、本格購買取引が始まる前から作り込む。
中間:カテゴリーマネジメント――個別の購買機会を1件ずつ捉えるのではなく、品目のまとまり(カテゴリー)単位で戦略を立て、期間での買い物を効率的・効果的に進める。
出口:戦略的サプライヤマネジメント――選定したサプライヤとの関係を、単発の取引で終わらせず、期間を通じてQCD全体を最適化し続ける。また、サプライヤのエンゲージメントを高めることで、サプライチェーン全体での競争力強化につなげる
このように、継続的な買い物という見方に替えて、期間での適正な買い物を実現することによって、従来に代わる調達購買手法の重要性を認識できるようになったのです。また、そこで重要になってくるのは、期間での適正な買い物は、横串機能でないと実現できないという点です。
単発の買い物について、相見積りをしましょう、今あるデータを活用し、価格査定をしましょう、ということであれば、横串機能ではなく、ユーザー部門でもある程度は実施できます。しかし、調達購買部門のような横串機能でなければ、期間での買い物の適正化は実現できないのです。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。
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