真の組織創りが難しくなる理由

2026.09.01

組織・人材

真の組織創りが難しくなる理由

齋藤 秀樹
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

私は長年、さまざまな企業の組織創りや人材育成に関わってきた。経営者、管理職、若手社員、それぞれの立場にいる人たちと向き合いながら、チームがうまくいく理由とうまくいかない理由を見続けてきた。 その経験の中で、近年とくに強く感じていることがある。 それは、真の意味での組織創りが、以前より難しくなっているのではないかということである。

私は、これこそが組織創りだと思う。

人が変わり、関係が変わり、場が変わり、その蓄積が文化になる。

組織文化とは、経営理念のポスターに書かれている言葉ではない。そこで働く人々が、日々どのように考え、どのように他者と関わっているか、その積み重ねである。

日本のエンゲージメント8%が示しているもの

Gallupの最新データでは、日本で仕事にエンゲージしている従業員は8%にとどまっている。東アジア平均18%、世界平均20%と比べても低い水準である。(gallup.com)

もちろん、この数字だけを見て「日本人は成長しなくなった」と判断することはできない。エンゲージメントと人間的成熟は異なる概念であり、組織創りが難しくなった背景には、人口構造、雇用制度、価値観の多様化、管理職負荷、働き方の変化など、さまざまな要因がある。

しかし、仕事に意味を感じにくくなり、会社との関係が希薄になり、成長への意識も弱まり、管理職も人を育てる余裕を失っているとすれば、真の組織創りが難しくなるのは不思議ではない。

だから今必要なのは、「もっと会社を好きになれ」と言うことでも、「昔の若者はもっと頑張った」と嘆くことでもない。

人が成長する意味を、もう一度取り戻すことではないだろうか。

成長は、会社のためだけにするものではない

ここは、とくに若い世代に伝えたいところである。

会社のために成長してほしい、と言いたいのではない。

むしろ、自分自身の人生をより豊かに生きるために成長してほしいと思っている。

人生では、仕事以外にもさまざまなことが起きる。人と出会い、別れ、家族を持ち、親が老い、失敗し、傷つき、思い通りにならない現実にも向き合う。会社を辞めることもあれば、会社そのものがなくなることもある。

そのとき最後に残るものは、肩書だけではない。市場価値だけでもない。

自分がどんな人間になってきたのか。そのことの方が、長い人生でははるかに大きな意味を持つ。

人の気持ちを理解できる。苦しいときに逃げずに考えられる。違う人とともに生きられる。誰かを助けられる。自分の人生の方向を、自分なりに考えられる。

そうした力は、会社を辞めても失われない。

だから、企業にも責任がある

同時に、企業側にも大きな責任がある。

人を効率よく働かせることだけを考えながら「成長しろ」と言っても、そこには説得力がない。細かく管理しながら「自律しろ」と求めても難しい。失敗すれば減点する一方で「挑戦しろ」と言っても、人は簡単には動かない。

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齋藤 秀樹

株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。

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