私は長年、さまざまな企業の組織創りや人材育成に関わってきた。経営者、管理職、若手社員、それぞれの立場にいる人たちと向き合いながら、チームがうまくいく理由とうまくいかない理由を見続けてきた。 その経験の中で、近年とくに強く感じていることがある。 それは、真の意味での組織創りが、以前より難しくなっているのではないかということである。
ここには一つの矛盾がある。
企業は管理職に「人を育ててほしい」と求めている。しかし同時に、管理職自身は目の前の成果を出すことに追われている。
その結果、組織創りや人材育成は、どうしても「時間があれば取り組むもの」になりやすい。
そしてAIがやってきた
さらに今、AIが仕事のあり方そのものを大きく変えようとしている。
世界経済フォーラムは、2030年までに現在の仕事の22%に相当する規模で雇用構造が変化すると予測している。170百万の新しい仕事が生まれる一方で、92百万の仕事が失われるという推計である。(weforum.org)
これから多くの定型的な作業は、AIによって代替されたり、大幅に効率化されたりしていくだろう。
すると、人間に求められるものは変わる。
何を目指すのか。どんな価値を生み出すのか。異なる人とどう協働するのか。意見の違いをどう扱うのか。誰かをどう育てるのか。正解のない問題にどう向き合うのか。
こうした領域は、単なる知識や作業能力だけでは扱えない。
つまり、テクノロジーが進化すればするほど、人間としての成熟と、他者とともに価値を創る力が重要になるのである。
ところが、その一方で、私たちの「成長」に対する意識そのものには変化が起きている。
「成長」を重視しない人が増え始めている
パーソル総合研究所の「働く10,000人の就業・成長定点調査」では、仕事を通じた成長を重要視する人の割合が、これまでおおむね8割程度で推移していたものの、2026年には約7割まで低下している。特に20〜40代では60%台まで下がっている。(rc.persol-group.co.jp)
私は、この数字を見て「最近の若者には向上心がない」と結論づけるべきではないと思っている。
むしろ問うべきなのは、なぜ人々にとって、成長することが以前ほど魅力的ではなくなってきたのかということである。
ここを考えなければならない。
私たちは「成長」の意味を小さくしすぎたのではないか
企業は長い間、社員に成長を求めてきた。
仕事ができるようになること。専門性を高めること。資格を取ること。生産性を上げること。成果を出すこと。昇進すること。年収を上げること。市場価値を高めること。
もちろん、これらも成長である。
しかし、成長をそれだけにしてしまえば、その魅力はどうしても限定的になる。
出世したいと思っていない人に「もっと成長しろ」と言っても響きにくい。市場価値を人生の中心に置いていない人に「もっと市場価値を高めろ」と言っても、動機にはなりにくい。
CHANGE
2026.07.21
2026.07.28
2026.08.25
2026.09.01
2026.08.26
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事
富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。
フォローして齋藤 秀樹の新着記事を受け取る