学ばない国の未来  若手の能力を失わせているのは、若手自身なのか

2026.06.05

組織・人材

学ばない国の未来  若手の能力を失わせているのは、若手自身なのか

齋藤 秀樹
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

日本の未来を考えるとき、私たちはよく「若手が弱い」「最近の若者は挑戦しない」「主体性がない」と語る。 しかし、本当にそうなのだろうか。 データを見ると、別の現実が見えてくる。 OECDの成人スキル調査では、日本の16〜24歳は、読解力・数的思考力・適応的問題解決力のいずれもOECD平均を上回っている。つまり、日本の若手は、世界と比べて基礎能力が低いわけではない。むしろ、素材としては十分に高い能力を持って社会に出ている。

学ばない国の未来

若手の能力を失わせているのは、若手自身なのか

日本の未来を考えるとき、私たちはよく「若手が弱い」「最近の若者は挑戦しない」「主体性がない」と語る。
しかし、本当にそうなのだろうか。

データを見ると、別の現実が見えてくる。

OECDの成人スキル調査では、日本の16〜24歳は、読解力・数的思考力・適応的問題解決力のいずれもOECD平均を上回っている。つまり、日本の若手は、世界と比べて基礎能力が低いわけではない。むしろ、素材としては十分に高い能力を持って社会に出ている。

問題は、その後である。

社会に出た瞬間、日本人は学ばなくなる。パーソル総合研究所の「学び合う組織に関する定量調査」では、正規雇用就業者の56.1%が業務外の学習時間なし、過去3年以内の研修受講経験も72.7%が「ひとつもない」とされている。さらに、過去3年間に研修受講経験もなく、業務外の学習もしていない層は48.5%にのぼる。

これは、かなり深刻な数字である。

学ばない社会人が多数派になっている国で、若手だけが自律的に成長し続けることは難しい。若手は会社に入り、上司を見て、職場の空気を見て、何が評価されるのかを学ぶ。もし、その職場で評価されるのが「学ぶこと」ではなく、「空気を読むこと」「波風を立てないこと」「上司の期待通りに動くこと」なら、若手は挑戦よりも適応を選ぶ。

そして、その適応が、若手の国際競争力を静かに削っていく。

厚生労働省の公表によれば、令和4年3月卒業者の就職後3年以内離職率は、新規大卒で33.8%、新規高卒で37.9%である。大卒でも約3人に1人、高卒では4割近くが3年以内に離職している。さらに事業所規模別に見ると、5人未満の事業所では大卒57.5%、5〜29人の事業所では大卒52.0%が3年以内に離職している。

つまり、中小企業では、若手の半数前後が育つ前に離れている。

ここで見えてくるのは、単なる若手離職の問題ではない。
もっと根深い構造である。

若手は入ってくる。
しかし、育つ前に辞める。
残った上司世代は、十分に学んでいない。
その学ばない上司が、次の若手を育てようとする。
そして若手は、成長実感を持てないまま、また離れていく。

これは、組織の静かな自壊である。

さらに、日本生産性本部の「労働生産性の国際比較2025」によれば、2024年の日本の時間当たり労働生産性はOECD加盟38か国中28位、一人当たり労働生産性は29位である。主要先進7か国の中では、最も低い状況が続いている。

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齋藤 秀樹

株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。

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