先行きが不透明な昨今の経済。そんな環境下では、ビジネスパーソンに求められるのは、新たな視点と気付き。そうした社員を抱えることこそが、強い企業として生き残りを果たすことができる。ということで、如何にすれば「新たな視点と気付き」を与えられるかと悩む人材開発担当者は多い。
■言語化することによって整理する習慣づけを行う
何らかの発見ができたら、二段階でアウトプットさせよう。「なんとなく発見できて面白かった」では意味がない。発見し、言語化するところまで精査してこそ、新たな視点と気付きが定着する。
まずは口頭で報告させる。それなりに何かを語るだろう。次に、長文でなくてもかまわないので、文章で報告させよう。口頭で伝える以上に精査しなければならなくなる。できるだけ報告内容には「どんな意味合いがあるのか」「論拠は何か」と突っ込みを入れよう。普段曖昧な状態で報告を済ませている自分に気づかせるのだ。
■発見をビジネス化するプロセスを体験させる
街での発見を報告させる際に、ただ見たことを報告するのではなく、そこからどんなビジネスのネタが考えられるのかを考えさせよう。自社のビジネスとつながるかは業種によって異なるので、全く別の視点でいい。新たに起業する場合でも、特定の業種にビジネスアイディアを売り込むという前提でもいい。
実はこの部分は筆者は大学で経済学部の学生に毎年考えさせてみている。アタマの柔軟な学生は、実現性の可否はともかく、実にいろいろなアイディアを考案できる。ビジネスパーソンとなってからある程度年月が経った状態で、その柔軟さを思い出させ、さらにビジネス感覚を取り入れた思考ができればベストだ。しかし、いいアイディが出るかどうかはまた別の話。新たな発見をして、それをビジネスと結びつけさせようとする努力のプロセスが大切なのだ。
■アウトプット前提で新たな視点を持たせる
上記でプログラムは1セット終了だ。しかし、必ずもう1セット実行して欲しい。今度は、1週間後に前項のような文章での報告を必ず提出させる旨を理解させて、何らかの発見を求めるのだ。
1週間後に報告があった際に聞いてみて欲しい。恐らく、2セット目の方がより多くの発見があったと回答するはずだ。アウトプット前提でものを見ることで、視点はより鋭くなることを理解させるのだ。
今回は一つの人材育成プログラムの案をお届けした。「研修」という形式を取ると、つい、そのときだけのこととなり、定着化しない。このような日常の中から学ばせるプログラムも是非試していただきたい。
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2008.04.28
2008.05.02
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。