べイン&カンパニーがお得意の「成長戦略」について、その知見を記しています。この会社、1プロジェクトあたりのチャージはすごいですよね。戦略コンサルティングの最高値です。その成長戦略に関する知見は非常に興味深いものです。
「再定義するためには、隠れた資産は4つの条件を満たす必要がある」に関して言うと、その4つの条件とは、①明確かつ測定可能な形で、競合との差別化が可能である、②顧客に具体的な価値を提供できる、③強固なプロフィットプールが存在する、④実行に必要なケイパビリティを獲得できる力を持っている、の4つである。この4つを全部同時に行い、それを何度も繰り返すことは難しいが、やらなくてはならない。
「隠れた資産に気づくためには、新たな視点が必要である」は、隠れた資産が物理的に見えないということはめったにないのだが、その資産が持つ潜在能力や、潜在能力の発揮の仕方に関しては、旧来の視点では見えないことが多い。
「隠れた資産を利用するには、組織の再定義が必要である」に関して言うと、変革にあたっての組織の課題は通常の事業課題とは異なるということである。専管チームを設けるべきか否か、新たなケイパビリティを得る必要がある場合は、どのように習得すべきか、などをチェックする必要がある。
・・・ぐらいでしょうか。たくさんのデータが出てきますが、割愛していますので、データに興味がおありの方は読んでみてください。
非常に手堅い内容です。ある意味で、普通のことが普通に書いてあると思います。これまでの経営学の知見、提示されている仮説を、データを基に検証しつつ、成長していくための考え方、手法を定型化しています。
先立つ経営書として、この本に挙げられているのは、「ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則」「伸びない市場で稼ぐ!」「コア・コンピタンス経営」、「ブルーオーシャン戦略」の4つです。
この4つの本で言われている知見が統合されていると思って読むとよいのではないか?と思います。私は恥ずかしながら、「伸びない市場で稼ぐ!」は読んでいませんでした・・・。
日本オフィスが書き加えた7章は、やや赴きが異なっていて、日本の大企業経営陣への熱きメッセージのような感じになっています。三井不動産とスルガ銀行のケースが出てきますが、いわゆる自社の顧客を書籍で紹介すると、顧客満足度が上がる、そこからの顧客紹介が見込める、みたいな狙いで書いているのかな、と思う感じです。
コンサルティングは受注型の商売なので、本を出すのは受注のため、というのは当然ではありますが、ある意味で、第7章はクロージングのための駄目押しメッセージのようでした。
私も本を出さないといけないなあ、と思いつつ、何で書くかなあ、と思いつつ、日々の業務に流される日々です。しっかり自分のコアを見つめないと!と思いました・・・。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2008.09.15
2008.11.09
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。