【コア事業進化論】(著)べイン&カンパニー

2008.04.23

ライフ・ソーシャル

【コア事業進化論】(著)べイン&カンパニー

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

べイン&カンパニーがお得意の「成長戦略」について、その知見を記しています。この会社、1プロジェクトあたりのチャージはすごいですよね。戦略コンサルティングの最高値です。その成長戦略に関する知見は非常に興味深いものです。

 コア事業が脅威にさらされた時にすべきことは、自社のコア事業を深堀りし、戦略を再定義すること。その深堀りに際しては、隠れた企業資産を発見すること。隠れた企業資産とは、①過小評価されている事業基盤、②未活用の顧客インサイト、③埋もれたケイパビリティの3つの資産であり、それを十二分に活用する形での戦略の再定義を実施すれば、成功の確率は格段に高くなる。

 では、いつの段階で、戦略を再定義すればいいのだろうか?当社は、研究の結果、持続可能な成長を続けている企業は、フォーカス(focus)、拡大(expand)、再定義(redfine)という3つの要素からなるサイクル(これをFERサイクルと命名)をまわし続けていることを発見した。

 つまり、フォーカス、拡大の後には、再定義が必要になるのである。

 その「再定義」が必要な企業の現状を診断すると、だいたい、3つのジレンマを抱えていることが多い。①将来のプロフィットプールの縮小または移動、②新しい競争モデルもしくは既存の事業モデルを破壊するような技術をもたらすコア事業モデルに対する直接的な脅威、③成長法則の失速と、差別化要因の縮小、といったジレンマである。

 こういったジレンマに陥った場合にはどうすればよいのか?混乱して未知の領域に飛び込まないで、現在のコア事業に対する理解を深めること。より有望なコア事業に集中して成長するために、成長のための一時的縮小を厭わないこと。戦略は重要であるのだが、卓越したオペレーション、経済性がなければ、戦略は効果を発揮しないこと。現在ある資産、もしくはすぐに手に入る資産をベースに変革を成し遂げることが重要である。

 これらのテーマを成功させるために、守るべき教訓が4つある。①再定義はコア顧客から始まる、②再定義するためには隠れた資産は4つの条件を満たす必要がある、③隠れた資産に気づくには新たな視点が必要である、④隠れた資産を利用するには組織の再定義が必要である、という4つの教訓である。

 4つの教訓を詳しく見ていく。

 「再定義はコア顧客からはじまる」、に関して言うと、ほぼ全ての再定義の成功例は、新たな戦略の中心にあるコア顧客に関する明確なコンセプトに基づいていた。再定義に際して活用する隠れた資産が、過小評価されている事業基盤であったとしても、未活用の顧客インサイトだったとしても、埋もれたケイパビリティだったとしても、この原則は適用される。

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

フォロー フォローして伊藤 達夫の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。