マネージャーの仕事は一般職とは違い、意志決定の連続とも言えます。進むべきか撤退するべきかといった戦略的な大きな決断もあれば、業務上の専門知識で解決できる問題に対する意思決定もあります。また、トラブルやクレームに対して、どのような対処方法を取ればいいのかといった、今後の組織間の信頼関係や人間関係に影響を及ぼす意志決定もあります。マネージャーとして、どのように意思決定力を上げていけばよいのでしょうか。
通常、組織の中で信頼される人は、高い専門領域の知識を持っています。何かしらの意志決定が必要な問題が起きたときに必要とされるのはこのような人です。つまり、普段から専門的な知識や技術を身につける努力を続けている人は、意志決定にも長けた人ということになるでしょう。逆に、専門知識のない人の意思決定を支持されるはずもありません。
これも、広い意味で考えれば、スタイルやらしさの表れかもしれません。「この分野のことなら○○さんに聞けば問題ない」「この問題なら確実に解決してくれる」などの評価を得ることができれば、意思決定も尊重されるでしょう。技術的な背景や専門性を高めることで、ビジネス・パーソンとしての存在感を出しているわけです。
そのためには、日ごろからの準備を欠かすことはできません。これは毎週ではなく、できれば毎日のタスクに落とし込みたいところです。小さなタスクでもかまわないので、デイリー・タスク欄に「○○についてのデータを集める」「先輩社員の意見を聞く」「セミナーに参加する」などの専門性を高めるタスクを計画し、実行しましょう。
長期的なWin-Winの意思決定のために、信頼関係を築く
マネージャーの意志決定というのは、組織と部下の双方のニーズを満たす必要があり、さらに、対外的な顧客やパートナーのニーズも満たさなければならず、できれば、その意思決定が長期的なWin-Winをもたらしたいという、とても難易度の高いものです。しかし、マネージャーとしては、すべての利害関係者のニーズ(組織の取るべき戦略、部下のニーズ、クライアントの求めていることなど)を理解した上で、意思決定をしなければなりません。
ところが、現実的には、常にすべての利害関係者のニーズに応えられる解決策があることはほとんどありません。現状で最適だと思える判断をするほかありません。
そこで、マネージャーとしての判断に賛同をもらえるかどうかを決めるもの、それは信頼関係です。「あの人が決めたのだから仕方がない」「○○マネージャーの決めたことには従いますよ」といった声が出るとすれば、それはマネージャーにとって最大限の評価ではないでしょうか。
そして、その信頼関係を生み出していくのは、マネージャーとして誰もが認める価値観であり、専門知識であり、周囲の人々のニーズに応えたいという思いであることは間違いないことでしょう。
そういう意味では、今日のタスクリストに「信頼を得るために今日できること」を何かひとつ決めて実行することができれば、これからのビジネス・パーソンとしての生き方に、大きな影響を与えるでしょう。
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2009.10.27
2010.03.20