営業は進化する(1) 令和型モデル「営業4.0 オキシトシン営業」

2025.11.11

経営・マネジメント

営業は進化する(1) 令和型モデル「営業4.0 オキシトシン営業」

村上 和德
ハートアンドブレイン株式会社 代表取締役社長

営業職といえば、何をイメージされますか・ 必死にお客様のところに通い、注文を取る姿でしょうか。あるいは、さっそうとプロジェクターの前でプレゼンテーションを披露する姿でしょうか。 営業職に求められる役割、コンピテンシーも時代とともに大きく変化してきました。また、業種や立場、仕事の内容によっても異なります。私は、営業は進化していくものだと考えています。通い詰めて注文を取ることも立派な営業の役割ですが、本来の営業の役割を考えれば、さらに、大きな成果を創り出すことはできるはずです。

営業3.0は、「ソリューション営業」です。これは今でもよく言われることで、「営業はソリューションを提供しなければならない」と語る上司はたくさんいます。

ソリューション営業は課題解決型とも言われますが、ソリューションというのは、単なる製品を指すことが多く、結果的に物売りと変わらないスタイルをとる人が多いのも事実です。その例として、先日ある経験をしました。私の家の階段をDIYで修理しようと思ってホームセンターに電動ノコギリを買いに行ったときのことです。コーナーを案内してもらって見ていると、電動ノコギリで何を切るのか聞かれました。「階段を修理したくて」と答えると、「切りましょうか」と返事が返ってきたのです。いくらか尋ねると、1カット50円だと言います。電動ノコギリを買うよりずっと安い。これこそがソリューションだと思いました。まさに「レビットのドリルの穴理論」と同じで、欲しいのは階段に合う板で、電動ノコギリではなかったわけです。

私の研修では、「ソリューション営業は効果効能を謳え」と教えています。営業はそこの伝え方を工夫しなければいけません。ダイエットをして手に入れたいのは、フィットネスマシンではなく、履きたかったスカートを余裕で履けるようになることです。

最後の営業4.0は「オキシトシン営業」で、私が令和型モデルと呼んでいるものです。

オキシトシンとは脳内に分泌される幸せホルモンです。つまり、お客様を幸せにすることがこれからの営業です。

ここで大事になるのが、話してもらう営業です。78%は話を聞いて、22%を応酬話法で対応する。これをひたすら訓練するとオキシトシン営業ができるようになり、トップセールスも夢ではありません。この78:22という数字は図形の法則です。正方形の4辺に接するように円を描くと、円の面積は正方形の面積の78%になるように、この割合は人間の欲得では変わらないものです。

たいていの人は、話を聞くよりもしゃべっているときのほうが幸せを感じるものです。物と情報があふれる時代、対面営業では商品の魅力を押し出すだけの説明型のセールスが効きにくく、テレビコマーシャルの延長線で話しているように思われてしまうため、むしろ傾聴することが大切です。

営業の資質を決めるのは「話す力」より「聞く力」

営業4.0の時代に求められるのは、話す力よりも「聞く力」です。営業には口がうまい人が向いていて、口下手な人は不向きだと思われがちですが、実際はその逆です。私はこれまで数多くの営業を育てる中で、口下手でも素晴らしい成果を上げる人を大勢見てきました。営業に本当に向かないのは、話が下手な人ではなく、人の話を聞けない人です。

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村上 和德

ハートアンドブレイン株式会社 代表取締役社長

1968年、千葉県生まれ。東海大学法学部卒業。 英国国立ウェールズ大学経営大学院(日本校)MBA。 新日本証券(現みずほ証券)入社後、日本未公開企業研究所主席研究員、米国プライベート・エクイティ・ファンドのジェネラルパートナーであるウエストスフィア・パシフィック社東京事務所ジェネラルマネジャーを経て、現職。

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