「事業の目的は顧客の創造である」とは、経営の神様と呼ばれる、ピーター・ドラッカーの言葉です。一見、当たり前とも言える言葉ですが、経営者や顧客に対応する営業が、本当に自分たちが取り組むべき「顧客」を創造できているかを考えると、十分とは言えない企業が多いのも事実です。
経営の出発点は「顧客」を知ること
「事業の目的は顧客の創造である」とは、経営の神様と呼ばれる、ピーター・ドラッカーの言葉です。一見、当たり前とも言える言葉ですが、経営者や顧客に対応する営業が、本当に自分たちが取り組むべき「顧客」を創造できているかを考えると、十分とは言えない企業が多いのも事実です。
「顧客」という言葉には、単なる「客」ではなく、「顧みる」という字が使われています。「顧みて、面倒を見続ける存在」ということなのでしょうか。英語だと、「コンシューマー」「カスタマー」「クライアント」といった言葉があります。「コンシューマー」は消費者、「カスタマー」はカスタム(習慣、繰り返し)を語源に持ち、繰り返し利用する人という意味合いがあります。そして「クライアント」という言葉は、もともと中世の騎士が、市民を守るべき存在としてクライアントと呼んでいたことに由来しています。つまり、クライアントとは「守るべき人」。この考え方は日本語の「顧客」にも通じるものかもしれません。
営業は、クライアントとして選んだ顧客に対して、守るべき責任があるということになります。守る責任を持つということは、あらゆる人を守ることはできないため、顧客数は限定されます。裏を返せば、極端な言い方かもしれませんが、クライアントは営業側が選ぶものでもあります。そこには単なる売り手と買い手ではなく、対等なパートナーシップの関係があります。だからこそ、顧客は営業を選びますし、営業も顧客を選ぶわけです。
「適格見込客」は誰なのか
私がプロパーのハイパフォーマー人材の育成で大事にしていることは、顧客を選ぶ力です。「お客様を選びなさい」ということです。人的リソースが限られているので、全員を喜ばせようとすると極めて厳しい。だからお客様を選べと言っています。
そして、選んだ限り、お客さん「ごと」に喜ばせる(満足させる)ことが必要です。この「ごとに」が大事です。顧客ごとにしつらえて顧客価値を創造していく必要があるわけです。
「顧客ごとに喜ばせる(満足させる)」には、まず、「あなたの顧客は誰なのか」という問いから始める必要があります。
しかし、通常こうした話をすると、すぐにこれまでの経験から「○○会社と△△会社です」と答えてしまう人も多いのですが、本当に自分の会社のバリューを理解し、そしてそのバリューを提供するにふさわしい「顧客」なのかは、改めて考える必要があります。
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2009.02.10
2015.01.26
ハートアンドブレイン株式会社 代表取締役社長
1968年、千葉県生まれ。東海大学法学部卒業。 英国国立ウェールズ大学経営大学院(日本校)MBA。 新日本証券(現みずほ証券)入社後、日本未公開企業研究所主席研究員、米国プライベート・エクイティ・ファンドのジェネラルパートナーであるウエストスフィア・パシフィック社東京事務所ジェネラルマネジャーを経て、現職。
