まずはパレートを描いてみよう!

2007.05.02

経営・マネジメント

まずはパレートを描いてみよう!

泉本 行志
株式会社アウトブレイン 代表取締役

日常業務をこなす傍ら、山積みになっている問題を抱えるあなたは、まず優先順位の高いものをいくつか選び、業務改善に取り掛かろうとしています。しかし、多忙で時間が限られている焦りもあり、実際に何から始めていいのか戸惑っています。

問題の解決策をいろいろ考え始める前に、まず「現象」のパレート図を作成しましょう。

多くのビジネスパーソンは、80:20の法則(パレートの法則)をご存知だと思います。業務改善で言えば、
「業務上の悪い結果の80%は、20%の要因によって引き起こされている」と理解できるでしょう。
この法則をグラフに描くと下記のようなイメージの図(パレート図)になります。

ポイントは、うだうだ考える前に、とりあえずパレート図を描いてみるという点です。頭でパレートの法則を理解していても、実際のデータを集計してパレート図まで描いてみる人は結構少ないのではないでしょうか?描いてみると、頭でぼんやりしていた問題点が、はっきりしてくることが多々あります。

「現象」を細分化し、パレート図を作成し、上位20%の要因を特定します。

「顧客からのクレームが多い」という問題ならば、
何に対してのクレームが多いのか、パレートを描いてその上位20%を特定。

「納期の遅延が多発」という問題であれば、
どの製品の遅延が多いのか、どの地域・どの顧客の遅延が多いのか、何曜日の遅延が多いのか
などの切り口で現象を細分化して、それぞれのパレートを描いてみます。

もちろん、細分化する切り口によっては、パレートを描いても傾向が読み取れないものも出てきます。
それを無駄な作業などと思わずに、とにかくいくつかの切り口でパレートを描いてみることが解決策を
思案する際の大きなヒントの発見に繋がります。

例えば、コールセンターへの入電数が多すぎて、お客様からの電話が繋がりにくいという現象を
改善しようというならどうなるでしょうか。

まず、どんな内容の電話が多く入ってきているか、パレート図を描いて把握します。
すると、本来このコールセンターで対応する内容でない電話が結構な数入っているため、
本来対応すべき内容の電話が取りきれていないという現状に気付いたとします。
そこで、問題を「本来入るべきでないコールが入ってくる」と定義し、
この「本来入るべきでないコール」とはどんなものが多いのかをパレートを描いて確認します。

すると、本来入電すべきでないコールが、たった数種類の内容であることに気付きます。たとえば、本来営業マンに直接入るべきコールや、運送会社とやり取りすべきコールが入ってきているなどです。

それぞれのコールが何故入ってくるか、考えうる原因を特定し、可能な解決策を出してみます。その中には、
自分の会社や部署内で解決できないものや、かなりの額の投資が必要となるものもあるかもしれません。
それはそれでプランを調整しつつ、とにかく、すぐにできる解決策から取り組み始めるという流れになります。

このように、問題に対して、漠然と考えて、解決は難しそうと先送りにしてしまうのでなく、まずパレートを描き、ビジュアルでその現状を細分化して考えることで、問題を理解することができます。問題をちゃんと理解し定義できれば、解決策を考えるのはそれほど難しい作業ではなく、その解決策の中ですぐに取り組めることから始めていけば良いのです。問題を漠然と捉え、勝手に肥大化させて解釈し、何もできないでいる状態を続けることの方が問題なのです。悩む前に、まずパレートを描く癖を付けましょう!

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