要望の中にある、真の目的を読み取る

2008.04.11

ライフ・ソーシャル

要望の中にある、真の目的を読み取る

泉本 行志
株式会社アウトブレイン 代表取締役

この間、日比谷線の地下鉄で、ドアの手すりのところに寄りかかって乗っていると、銀座駅で電車に乗ってこようとする外国人から質問されました。 「これは、プラットフォーム2番ですか?」

その質問に対して、 「そうです」 とそのまま答えを返しました。

それをきっかけに、電車の中で「日本は今回初めて?」みたいな、たわいの無い会話をしているうちに、
どうやら彼は六本木に行きたいのだということに気づきました。

あっ逆方向だ。。

最初に「プラットフォーム2番ですか?」と聞かれたとき、「どこに行きたいのですか?」
と目的地を聞いてあげればよかった。 

質問の目的を理解せず、単に質問に対して、Yes,No で答えてしまった。

* * *

昨日、上島珈琲というカフェで読書をしていると、隣の席に座わろうとした男性がつまずき、
持っていたコーヒーがソーサーにドバっとこぼれてしまいました。

その男性は店員さんに、

「すいません、拭くもの貸してもらえませんか?」

とお願いしていました。  

これと全く同じシーンを以前に他のカフェでも見かけたことがあります。 
その時は、「すいません、拭くものありませんか?」とたずねた客に対し、
店員はフキンを渡して、客の要望にきちんと応えました。

一方、昨日の上島珈琲の店員さんは、フキンを渡す代わりに、

「新しいのを入れてきますね!」

といって、素早くこぼれたコーヒーカップを片づけていきました。 

前者は、確かに「フキンを持ってきて」という客の要望に応えていますが、
後者は、フキンを使う目的を考えて行動しています。

もちろんこれは店員への教育の差によるものかもしれませんが、この店員さんの小さな機転に、
その客はとても感謝していましたし、横にいた私もその店のファンになりました。

* * *

新米コンサルタント時代に、先輩から、

「お客さんの要望を丸呑みせずに、要望の真の目的を追求しろ!手段と目的を区別して、
要望が単に手段に過ぎないのであれば、目的を押さえて、その実現のための複数ある手段を検討しろ」 

と言われたことがあります。

相手の質問、要望に反応的にYes, No を答えたり、そのまま従順に従うのでなく、
その要望の中にある目的を意識して読み取ることを、普段からも心がけようと、
再認識させられた2つの出来事でした。

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