もう一度読み返したい本: 【 経営の構想力 】 (著)西浦祐二 氏
■ その原因として、3つの誤解がある。1つ目は、「ナレッジとは何か」という点。つまり「ナレッジや知恵」と「データ」や「情報」との違いが明確化されていないというところである。 本来「データ」に意味が与えられると「情報」となり、その「情報」をどのように活用するかが知恵」である。単なる「情報」の共有化から、本当と意味での「知恵(ナレッジ)」の共有化が必要である。
■ 2つ目は、「ドキュメントを電子化すればいい」という誤解。「知恵」やデジタル処理できない部分があるし、電子ファイル化しても、それだけで組織内での活用は難しい意。「情報系」だけに偏らず、社内運動、知恵の編集など「人間系」の工夫が不可欠である。
■ 3つ目は、「ナレッジマネジメントは現場の知の共有化であり、経営者が関わるものでない」という誤解。 経営者が「大局的な視点」や「理念」を現場に投げかけることでベクトルの揃った知の生成が可能となる。また、現場の知を経営者自身が学ぶことで、現場のナレッジが「経営の知」に昇華される。これらの理由から、経営者も深く関与すべきである。
■ このように、「大局的な視点」と「現場の視点」がうまく融合して、目指すべきナレッジマネージメントの仕組みが出来上がる。そして、この2つの視点こそが、一人のリーダーの構想力を高めていく。
■ 混乱の時代に、「構想力」はこれから向かうべき方向性を指し示す「羅針盤」であり、ビジネスリーダーとって必須の能力と言える。 そして、その構想を自らの言葉で語れるコミュニケーション能力、新しいものを作り出し、その価値を再生産していく仕組みをつくるマネジメント力があって、初めてリーダーとしての役割を果たすことが出来るのであろう。
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内容は経営層向けのハイレベルな視点になっていますが、容易な表現で読みやすく書かれています。
大枠の抽象的な議論の中にも、具体的なエピソードもいくつも盛り込まれています。
「構想力」を「編集力」と重ねて論じている点がとても興味深いです。
「構想力」という言葉はいろいろな意味でよく使われていますが、その言葉の意味を再度自分なりに解釈し、
「構想力」という切り口からビジネスリーダーのあり方について考える良い機会を与えてくれる1冊です。
(初回2008年4月10日掲載)
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