あふれるような仕事を目の前にして、どうすれば最小の労力で最大のアウトプットを出すことができ、かつ、自分にとっても組織にとっても有益な結果をもたらすことができるのか、この問題に対する答えが「タイム・マネジメントである」という考え方です。 しかし、労働時間が減少する現代においては、もはや「忙しさの解消」を考えるタイム・マネジメントは現実的ではなくなってきています。
タイム・マネジメントやタスク・マネジメントと呼ばれるものの目的は、ほとんどの場合、忙しくて仕事が片付かない人のためのスキルや手法と言えます。
あふれるような仕事を目の前にして、どうすれば最小の労力で最大のアウトプットを出すことができ、かつ、自分にとっても組織にとっても有益な結果をもたらすことができるのか、この問題に対する答えが「タイム・マネジメントである」という考え方です。
しかし、労働時間が減少する現代においては、もはや「忙しさの解消」を考えるタイム・マネジメントは現実的ではなくなってきています。
減る労働時間、求められるアウトプットの増加
仕事をする時間は、ある程度仕事の量に比例します。かつては、仕事量の多い人は必然的に労働時間も長くなり、残業や休日にも仕事をすることがやむを得なくなっていました。ですから、その長時間の労働時間をいかに減らすかが問題だったわけです。
そこで、企業の収益性の視点から残業費用の削減、従業員のライフワークバランスや心身の充実という観点からは労働時間を削減する方針がとられはじめてきました。特に昨今は、労働管理や働き方改革などと呼ばれ、働く時間はどんどん減少しています。実際に、日本のビジネス・パーソンの労働時間は、減少の一途です。
ただし、企業が求める生産量が減ることはありません。むしろ、アウトプットの量は増やしていかなければなりません。これまでよりもより短い時間で、より多くのアウトプットを、しかも高付加価値で収益をもたらすアウトプットが必要とされているわけです。
これは、ナレッジワーカーにしても、ものづくりの現場にいる人にとっても同じことが言えます。やり方や仕組みを改善しながら、より多くのことをし遂げなければならないのです。
IT化でも生産量(付加価値)は増えない?
世はDX、IT化の流れが止まりません。ITやDXによって、20年前と現在の生産性の違いは明らか、なはずでした。昭和世代であれば、手書きの企画書など、普通に存在していましたし、表計算を行うときは電卓をはじいていたものです。アナログ作業で時間もかかっていました。つまり、そのころから比べれば、アウトプットに必要な時間は、何十分の一になっているはずなのですが、生産性が何十倍になったという話はあまり聞きません。実際、GDPはほとんど変わっていません。
これはどういうことなのでしょうか。
システム化されたワークフローやITデバイスを使ったアウトプットははるかに早くなったにもかかわらず生産性が上がっていないということは、ここに生産性の本質はないということかもしれません。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2024.04.11
2024.07.12