中国で、外国人が出版や広告業を営むのは至難の業。にも関わらず中国政府公認で情報誌ビジネスを展開している日本独資企業がチャイナ・コンシェルジュである。当初、日本人向け情報誌からスタートした同社が、中国フリーペーパー業界でオンリーワンのポジションを確保するまでの経緯を辿る。
■引退したら、みんなでハワイに暮らせる会社に
「僕がマネジメントを学んだのは、大学時代のアメフトの監督から。この方に基本動作の大切さを徹底的に叩き込まれました。なんせ電車が止まって集合時間に遅刻しても坊主にされるんです」
監督が教えたかったのは社会人になったときの心構えである。ビッグプロジェクトを任され、ここ一番のミーティングがあったとき、電車が遅れましたからゴメンナサイでは許されない。最悪、破談になるリスクもある。チャンスをモノにするためには、そこまでの心構えが常に必要だと監督は説いたのだ。
「実は僕自身が昨年の夏、坊主にしたんです。大連のテレビ局からインタビューを受ける予定になっていたのに、熱を出してドタキャンしてしまった。社長自身が病気を言い訳にすることは許されない。自分で仕事に対する心構えを示さないとね」
翌日、坊主アタマで出社した大西社長を見た社員は、その決意の大きさを感じ取り、皆身を引き締めたという。以降、遅刻する社員は出ていないというのもうなずける話だ。社員数が増え、大西社長の思いを社員全員が同じレベルで共有することが重要な課題となっているいまだからこそ、社長自らがルールを守る大切さを身を以て示す意義は大きい。
「いまみんなに言っているのは、我々は日本から世界へ、世界から日本へのコンシェルジュになるんだと。日本から世界へ出て行って活躍する日本人に情報を提供し、世界から日本を訪れようと考える人たちにも情報を提供する。そんな企業グループになろうといい続けています」
中国ビジネスの次の展開もすでに視野に入ってきている。中国と並び称される途上国BRICsの一角を占めるインドか、あるいは成長著しいベトナムなど、東南アジアのどこかか。
「別にアジアだけで考えているわけでもないんです。ヨーロッパには日本人向けの良質なフリーマガジンはないというし、アメリカにだってそう多くはないでしょう」
ロサンジェルスで情報誌を発行している日本人と意気投合、これから上海とロスをつなぐ情報サイトを作る計画が実現段階に入っている。財務基盤も盤石となりつつあり、まさにこれから、積極的な展開が始まろうとしている。
「社員が辞めたいって言ってきたら、辞めるなんて言わないで自分の好きなところに拠点を作れよって言ってます。そこで定年までがんばって、引退後はみんな一緒にハワイで暮らそうよ、なんて夢を語ってるんですけれどね」
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FMO第6弾【株式会社チャイナ・コンシェルジュ】
2008.04.08
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