日本では、2025年問題と言われるように、6割以上の経営者が70歳を超えるほど経営者の高齢化が止まらず、後継者不在の中小企業が増加の一途となっている。しかも、経済産業省の調査によれば、127万社の中小企業が「後継者は未定」となっているという。中小企業といえども、従業員は少なくなく、このまま単純に消滅することにでもなると、大量の離職者と大きな経済損失を生むこともありうる。
例えば、新たな補助類型の創設等による経営資源引継ぎ型創業の推進、企業価値評価ツールの提供、補助金・中小企業向けファンドによる支援の拡充、中小M&Aの制度的課題への対応などを実施、あるいは実施予定だとしている。
経営者のニーズとは
会社を創業し、長年経営してきた人にとっては、自分の会社がすべてだろうし、自分の生き方そのものなのだろう。仕事(会社)を人生と捉えるか、事業と捉えるかで選択肢は変わってくるだろうが、経営者にとっての一番のニーズは継続性、サスティナブルな事業の存続であることは間違いないところだ。経営の継続には「変革」が必要なことは経営者であれば百も承知だが、変わらずに維持、成長できればそれにこしたことはない。さまざまな場所で、さまざまな形態で存続し続けることは、社会の多様性にとっても必要なことだ。
国も「経営資源の散逸の回避」「生産性向上等の実現」「リスクやコストを抑えた創業」という目的を掲げるのもいいが、さまざまなところに経営資源が存在していてもいいし、大企業視点の生産性向上だけが、事業の存在ではないはず。国の支援も、ぜひ、現在の経営者のニーズをくみ取った支援をしてほしいものだ。
また、経営者にとっては、後継者問題もさることながら、本当に自分の会社を遺すべきなのかという将来の不安も大きい。特に、ここ数年のアフターコロナの円安状況は、大企業と中小企業の格差がさらに広がってしまった感がぬぐえず、本当に将来、業界、会社が生き残れるかの不安を抱えたままの事業承継は本当に厳しい。
とはいえ、蓄積したノウハウを次世代に遺す、後継者を育成する、というのは、次世代や社会のために考えることは悪いことではない。
冒頭で言った、昭和世代が持つM&Aに対するネガティブな印象をまず捨てることも必要なのかもしれないし、買う側においても、短期的な収益だけではなく、幅広い経営資源の保護と育成という目的を持った上でのM&Aを進めていく必要があるだろう。
そのために必要なことは、企業規模を問わない、ひとつのエコシステムのなかでの対話だ。国は、個々の企業が、M&A等の事業承継支援を含めた企業間連携の推進等を宣言する「パートナーシップ構築宣言」といった組織を立ち上げ、対話や情報共有を進めているが、地域性を考慮したうえでの、取引関係者、業界団体、金融機関、その他専門家を交えた、事業継続、成長に向けた対話や情報交換の場を定期的、継続的に持つことが何より必要なのではないか。
大企業と中小企業の格差が広がり、経営者の高齢化が進むなか、猶予期間はほとんど残っていない。
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