戦略的サプライヤマネジメントと従来のサプライヤマネジメントの違いについて述べていきます。
前回の記事(だいぶ前ですみません)で、事業環境変化に伴い、今「戦略的サプライヤマネジメント」が求められ始めていることを説明しました。今回は「戦略的サプライヤマネジメント」が従来のサプライヤマネジメントとどう違うのかを説明し、その取組みや進め方について、理解を深めます。
「戦略的サプライヤマネジメント」とは、従来のサプライヤマネジメントを進化させた概念です。従来のサプライヤマネジメントとは、大きく2つの点で進化しています。
1点目は、サプライヤ関連情報の収集を行い、それらの情報を全社で一元管理し、活用していくという点です。従来は、サプライヤの基本情報や評価情報などはISO規格取得のために、事業毎、工場毎に形式的に収集管理していた企業がほとんどでした。
それに対して、収集しなければならない情報の内容や、全社一元管理し活用するという運用方法も従来のやり方を変えていく必要がでてきています。情報の内容としては、様々なサプライヤのアンケート情報や、CSR関連情報、カーボンニュートラルなどの環境対応状況、サプライヤの工場や倉庫立地などのBCP情報、紛争鉱物対応の情報、反社アンケート情報、技術/製品情報、Ecovadisなどの外部情報、第三者によるVoS情報など、収集管理したい情報が多岐にわたっているのです。また、主要な情報の一つとしては、昨今の供給不足でサプライヤが顧客を選ぶ時代となったため、サプライヤがどのように自社をとらえているか、というパーパスの共有度(自社に対する姿勢)があげられます。
収集しなければならない情報の内容が多様化しているだけでなく、これらのサプライヤ関連情報はデータベースなどで一元管理し、サプライヤ戦略の策定・実行につなげなければ意味がありません。このような運用方法、情報活用方法の進化も新しいサプライヤマネジメントに求められる要件です。
2点目は、関係性強化すべきサプライヤとの、コミュニケーションの取り方の改革があげられます。ポイントは双方向でのコミュニケーション強化という点で、これが従来のサプライヤマネジメントと異なる点です。サプライヤマネジメントというと、サプライヤをマネジメントし、改善させる、といった、やや上から目線的な取組みをイメージします。
コミュニケーションの取り方の改革は、コミュニケーションの「方法」「内容」「機会」の改革を行うことであり、それによって双方向の取組みにできるのです。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。