ドイツ流「もったいない」の実践に学ぶ

2008.04.02

ライフ・ソーシャル

ドイツ流「もったいない」の実践に学ぶ

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

「飽食の時代」と言われて久しい。そしてこの季節、日本の美徳である「もったいない」はどこへ行ったのかと思うような光景を目にする。花見の会場に設置された仮設ゴミ捨て場にあふれかえる残飯の山だ。

日本の食料における食べ残しや廃棄の割合は、少し古いデータだが農林水産省のWebサイトにある。
http://www.maff.go.jp/soshiki/syokuhin/syouhiseikatu/shishin/mate1414.html
11年前の時点で24%であり、「上昇中」とのコメントが添えられている。

食品偽装の問題で、「消費者は消費期限と賞味期限の違いもわからないくせにくせに」と開き直った経営者がいた。ここで行数を割きたくないので、消費期限と賞味期限、食品衛生法JAS法の定めに関しては厚生労働省のWebサイトへのリンクを提示しておく。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2002/12/s1211-8f.html
平たくいえば、消費者の多くが感覚的にわかっていたとおり、賞味期限は過ぎても食べられないわけではない。が、一方で一連の食の安全をめぐる報道の中で、その賞味期限を守ろうとするが故に、大量の食品廃棄がなされていることも世間が知ることとなった。
また、数多の製品回収騒動が発生したが、例えば材料の表示が本来の含有量順になっていないという理由で大量に回収された食料品はそのほとんどが廃棄処分されるという結果になっている。

ファストフードに目を向けてみる。誰もしなびたフライドポテトやふやけたうどんなど食べたくはない。しかし、揚げたてポテトや、ゆでたてシコシコうどんを客に待たせず提供するため、一定量を作り置きして、時間が経過したものは捨てるというオペレーションが組まれている。つまり、廃棄前提だ。

さて、タイトルに示したドイツのこと。ドイツでの優れた取り組みを知ったので、二次情報ではあるがお伝えしたい。
「廃棄直前の食べ物がおいしい食事に変身!」
http://greenz.jp/2008/03/28/berliner_tafel_ev/
<ドイツの市民活動「Berliner Tafel e.V.」は、賞味期限切れ直前の食料を有効利用し、失業者などの食事を作っている。>
同国の失業率は8.7%と深刻だが、上記の食事を提供するボランティア施設がベルリン市内だけでも300カ所はあるという。

冒頭、筆者が見た花見会場のゴミ捨て場にはホームレスの人々が多数集まり、食べ残しを物色していた。日本でももっと「もったいない精神」を発揮して、「捨てる→拾う」の関係ではなく、「回収する(捨てない)→加工する→ふるまう」のような好循環が作れないものだろうかと考えさせられた。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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