前回の記事に引続き、モノが買えない時代における、対応について、いくつかのアイディアを説明していきます。
前回の記事に続き、今回は「モノが買えない時代」の課題の、サプライヤ供給力不足について考察を述べます。今回は、この課題に対する対応について、いくつかのアイディアを説明していきましょう。
サプライヤ供給力不足に対する対応としては、大きく4つの対応方法があります。
一つ目は、在庫を持つことです。当たり前な話ですが、サプライヤの供給力不足に対して、在庫を持つことは、効果があります。しかし、在庫を持つと言っても、いくつかの方法があげられるでしょう。
まずは、生産の枠取りです。生産の枠取りは、あくまでも、実発注ではなく、サプライヤの生産計画に優先的に、自社の調達分を折り込んでもらう方法になります。例えば、中長期の自社の生産計画情報を、サプライヤと、事前に共有することで、生産枠を確保してもらうことなので、実発注ではありません。
ですから、買取の保証はしない前提です。あくまでも実発注は、JITで行い、内示という形で生産計画情報をプッシュ型で提示する形態になります。
この事例は、圧倒的にバイヤー企業が、力関係で優位に立っているような、自動車業界などでは、よく見られるケースです。このケースでは、在庫を持つ、という意味では、サプライヤにサプライヤ責任で(将来の)在庫を持ってもらう、こととなります。
在庫を持つ、次の方法は、長期発注、先行発注などのやり方です。多くの企業では、従来は先ほど述べたような、枠取りの方法で対応していたものの、サプライヤの供給力不足が顕在化することで、長期発注、先行発注をせざるを得ないようになってきています。
手元に、各企業の、サプライヤ供給力不足への対応についての、ヒアリング情報がありますが、多くの企業で、半年から、最長で3年という、長期発注(先行発注)をしている、実態になっているようです。
長期発注(先行発注)は、バイヤー企業が、買取保証をしますが、(将来の)在庫をサプライヤに保持してもらう形態となります。この方法を実施するためには、将来の在庫を、サプライヤに保持してもらうので、自社で在庫を持つ必要はありません。しかし、サプライヤに対しては、買取保証を行うため、生産の枠取りに比べると、サプライヤは在庫リスクを回避でき、対応がしやすいでしょう。
在庫を持つ、もう一つの方法は、自社で在庫を持つ方法です。これは自社の生産計画を元に、所要量を算出し、必要に応じて、安全在庫や戦略在庫を持つ前提で、調達計画を作成し、発注を行う方法になります。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。