4月から社会に出る新社会人へ 上司を真似る時代は終わっているぞ

2021.03.29

仕事術

4月から社会に出る新社会人へ 上司を真似る時代は終わっているぞ

猪口 真
株式会社パトス 代表取締役

昨年は、ちらほらとしかリクルート姿の学生くんたちを見ることがなく、今年入社する人たちは、ほぼオンラインでの面接をやり遂げた人たちなのだろう。大企業やIT関連の企業を中心に、すっかりテレワークが浸透している。自分のデスクがない新人ということもあるうる世代となりそうだ。

ところが、テレワークでは、OJTはほぼ機能しないと思っておいたほうがいい。せいぜい、顧客やパートナーとのミーティングに参加し、先輩とのミーティングを定期的に行うことぐらいだろう。それで覚えることがあったとしても、(先輩の自慢話や武勇伝がほとんどだから)新しい仕事のやり方では通用しないことばかりだろう。

これから入社する人たちは、史上初「上司を真似ることが仕事ではない」世代となる。これまでは、上司に追いつき、上司の代わりの人材になることが目標だったが、これからはそうではない。新しい価値の生み出し方を自分で考えることが前提となった新しい世代となる。前例がないのだから。

この1年、次のことを一生懸命やってほしい。

会社に入ったら、まず自社の顧客は、自社の「何」を購入しているのか、自分なりに十分に研究してほしい。「何を」といっても、商品そのものではない。顧客は自社の「どのような付加価値」を買っているのか。クリステンセンの言葉を借りれば、顧客はすべからく、「用事=ジョブ」を片づけるために製品やサービスを買っているのであって、その商品物体そのものを購入しているのではないことを理解したうえで、自社の何が顧客の課題を解決しているのかを分析してほしい。利益を出している会社であれば、必ず付加価値を持っている。当然、他社との比較も必要だ。「上司に頼ることが仕事ではない」といったが、ここは十分に上司を利用してほしい。(ただしそれをうのみにしない)

次に、自社がどのようにその付加価値を出しているのか、これを十分に研究してほしい。

これがもっとも重要なことで、実は社員でもあまり理解していない人が多い。しかも顧客によってその「付加価値」のポイントが異なるからだ。

だから付加価値を生むプロセスや仕組み、システムはひとつではないし、また、複雑に絡み合っていたりもする。

そして、そのプロセス、仕組み、システムは、「新しい働き方」のなかでも本当に生まれるのか、自分であれば(デジタル世代の発想で考えれば)、どのようなプロセスであればその価値を生み出すことができそうかを考え抜く。

上司を真似ていても価値を生み出せるとは限らない、というか生み出せない。デジタルに関する発想やアイデアは、あなたのほうが豊富なのだから。

思う存分あばれてほしい。

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