「Less is more」 は建築家、ミース・ファン・デル・ローエの言葉。無駄を削ぎ落としたものは美しい。さりとて、その削ぎ落とすという行為はなかなかに難しい。そんなことを考えさせてくれた、最近の商品を二つご紹介。
■レーシング・カートに似た「ASUS Eee PC」
http://eeepc.asus.com/jp/
米国で199ドルパソコンとして注目され、日本ではWindows XPを搭載し、49800円で発売された「ASUS Eee PC」。価格の安さで初期ロットは即完売。今でも店頭では品薄が続いているので、この記事を読んで気になった方、見かけたら即ゲットをお勧めする。
と、いうわけで、最近このPCを持って出かけることが多い。結構、使えるのだ。これが。
もちろん、出先でPCを本格的に使うシーンが想定されればフルスペックのノートPCを持って行くが、Eee PCは何とも気軽でいい。
バックアップは取っているとはいえ、メインマシンを持ち歩くのは結構気を遣う。故に、重いハードアタッシュケースに入れて持ち歩く。セキュリティーはかけてあるが、ハードディスク内のデータが気になるので、奪われる危険を考えると電車でうっかり居眠りもできない。
Eee PCの気楽さは、何といっても、なーんにも積んでいないこと。ハードディスク(HDD)がない。わずか4GBの内蔵フラッシュメモリー+4GBのSDカードのみ。HDDがないので物理的な故障の心配が少ない。薄っぺらいカバンにぽんと放り込んで持ち歩ける。
アプリケーションソフトも積んでいない。否、積めない。4GBの内蔵フラッシュメモリーは3GBがXPに占有されている。軽めのセキュリティーソフトしか入れられない。
基本的にテキストエディタでの文書作成と、インターネット接続専用端末となるが、メールソフトもインストールせずに、Webメールを使う。利便性は下がるが、メールデータも本体に残っていない。万が一の盗難も怖くない。
さらに言うと、Eee PCは重量的に軽いだけでなく、やはり動作もサクサクと軽い。CPUはプアなものだが、ソフトをほとんどインストールしていないので、引っかかるものが何もない。立ち上がりも早い。ストレスフリーなのだ。正に贅肉を削ぎ落とした「Less is more」な軽快さなのである。
ストレスが全くないと言えばうそになる。サイズの小ささに連動して、キーボードはさすがにフルサイズではない。少し小さいが故に、ミスタイプも発生する。しかし、その分、集中力が高まる気もする。
例えて言うなら、以前、試したら気に入って何度か乗った、レーシング・カートのようなのだ。90CCのエンジンがパイプ剥きだしのフレームに納められ、サスペンションもなく、ステアリングの遊びもほとんどない。ダイレクトに路面の感触が伝わってくる。決して高性能なわけではないが、無駄を削ぎ落とした故のおもしろさが感じられるのは共通したところである。
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2008.03.22
2008.03.28
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。