中国で、外国人が出版や広告業を営むのは至難の業。にも関わらず中国政府公認で情報誌ビジネスを展開している日本企業がチャイナ・コンシェルジュである。当初、日本人向け情報誌からスタートした同社が、中国フリーペーパー業界でオンリーワンのポジションを確保するまでの経緯を辿る。
同社がリーチできるのは富裕層だけに限らない。昨年創刊された『MeHer』は上海の高感度OLにターゲットを絞り込んだライフスタイルマガジンである。意外なことだが、中国では雑誌があまり売れないという。雑誌の値段が高いことに加えて、必要な情報はケータイやネットで手に入れるのが中国流だからだ。
「とはいえ彼女たちが印刷物を嫌いなわけじゃありません。本当はきれいな雑誌を読みたい。だが、お金を出してまで買おうとはしない。だからフリーマガジンが効くわけです。ただ無料だけに無差別に配ってしまったのでは狙った費用対効果を広告主に提供することができない。そこで我々は外資系のオフィスが数多く入っているビルをピックアップするなどして、彼女たちに直接届くような仕組みを作っています」
フリーペーパービジネスで意外に見過ごされがちなのが、こうした冊子配布機能である。いくら素晴らしいコンテンツを盛り込んだとしても、それを読んでもらいたい相手にきちんと届けることができなければ意味はない。ましてや中国は13億もの人口を抱える国だ。駅に雑誌カウンターなどを設置して無料配布すると、本来狙っていない人たちの手にも行き渡ってしまう。配布には慎重を期す必要がある。
「中国ではまだ、いわゆるマス広告が日本のようには機能しません。日系各社もようやく、そのことに気付かれたようです」
中国はまだまだ貧富の差が激しい。そこでたとえば1000円のシャンプーを売るためにゴージャスなCMを打ったとしよう。これはあまりにムダの多過ぎるプロモーションだ。なぜなら1000円のシャンプーを買える層は、おそらく全人口の20%に満たないから。
「ただし、20%といっても3億人というオーダーになります。ここにどうリーチするかが中国でマーケティングを成功させる秘訣なんですね。我々の強みは三つあります。まずこうした中国人マーケットの特性を深く理解していること、そして彼らにわかりやすいように情報を編集する能力があること、もう一つが彼らにリーチできる独自のルートを持っていることですね」
この能力が評価されているからこそ同社は、大手広告代理店から中国のライフスタイル調査を一任されるのであり、あるいは大手自動車メーカーが中国で展開しているホームページのコンサルティングから運営までを任されているのだ。
チャイナ・コンシェルジュ社は一体どうやって、ここまで深く中国に根ざすことができたのだろうか。この質問に対する大西社長の答えは「ちょっとカッコよすぎるかもしれませんが、チャンスはそれを生かせる準備をしている者にしか来ないのですよ」ということばだった。
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FMO第6弾【株式会社チャイナ・コンシェルジュ】
2008.04.08
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