一日の始まりは新聞を開くことから。それが自分にとっての習慣なのか儀式なのかわからないのだけれど、20年社会人をやっているがかなり染みついていると思う。そんな人は多いだろうと思っていると、昨今の若年層の新聞離れには驚かされる。それは海の向こうでも同じようだ。
米国の調査会社によると、<新聞を「週6回以上読む」グループでは高年齢層の比率が高い一方、「週に1度も読まない」人には若者が多かった。>という結果だそうだ。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0803/15/news006.html
しかし、ここまでは過去に国内で発表されている調査と何ら変わらない。しかし、続きが興味深い。<、「新聞を週に1度も読まない」人は、サイトの種類を問わずニュースサイトをよく利用しており、その利用度は「週に3~5回新聞を読む」人や「週に1~2回新聞を読む」人たちと比べ、全般的に高いことも判明。>そして、結論は以下のようになる。
<「新聞を読まない人が、必ずしもニュースを利用しないわけではない」、「単にデジタルフォーマットを好んでいるだけ」>。
まぁ、そういう考え方もできるかもしれない。しかし、一方で「ちょっと待った」という感も否めない。サイトと紙の新聞では根本的に情報摂取のしかたが違うのではないかと筆者は考えるからだ。
教鞭を執っている大学でも、企業研修で若手対象の講座を担当した時でも、マーケティング環境分析などと関連して、新聞を読んでいるか否かの話題がよく出る。大学の担当科目が就職活動前後の3・4年生対象ということもあってか、若手ビジネスマンより日経新聞の購読率は高いようだ。しかし、大学生は「新聞を読むのはひどく時間がかかる」とこぼす。
まだ、新聞、特に日経のような経済紙は読み慣れないのだからしかたがない。そこを我慢して読み続ければ、要領が良くなり早くなるのだが、やがて就職し、パソコンとの接触時間が長くなると、仕事の合間にニュースサイトを見るということで代替してしまう。
誤解のないように明言するが、ニューズサイトは悪くない。それこそ短時間で一通り世の中の動きを知ることができる。但し、利用のしかたを聞いてみると、ヘッドラインだけを見るだけに留まり、そんなに多くの記事をクリックして本文を閲読してはいないようだ。
もちろん、新聞だって全部の記事を読んでいるわけではない。しかし、新聞のいいところは、芸術的ともいえる段組の表現方法にある。ニュースサイトでは、多くの記事がフラットに配置されているのに対し、新聞ではその新聞社が判断した記事の重要度に応じて面積が異なる。ヘッドラインの大きさや文字の装飾なども一種の情報だといえる。また、それなりに大きな記事なら、本文前にサマリーがつく。あまり興味のないタイトルでも、サマリーぐらいは読む。
ヘッドライン、サマリー、本文。そしてコラム。様々な情報が紙面に表現という主張を持って配置されている。ざっと見るだけで、写真を撮るように書かれている内容を理解するという、いわゆる「フォトリーディング」的な読み方も、新聞の方がやりやすい。慣れれば新聞を読むスピードが画期的に上がる。
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2008.03.25
2008.03.25
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。