グロービス経営大学院・田久保研究科長によるミニコラム『研究科長の日々のつぶやき』をお届けします。第2回目のキーワードは、「学び」。近年、テクノロジーの進化によって、たくさんの便利で機能性の高い学びのツールが出てきていますが、やはり人間は本質的には「社会的な動物」。リアルとオンラインの融合が進む時代だからこそ、「人間は人間によって磨かれる」ことの重要度が増しているのではないでしょうか。
進化し拡がる、学びのツール
最近、本当に多くの学びのツールが増え、とても良いことだと思っています。
昔は、ビジネスパーソンが1人で学ぶというと、書籍ぐらいでした。
それが、通信教育となり、eラーニングとなり。
WWW(World Wide Web)全盛期には、eラーニングにクイズ的な確認問題が付いたりと、「インタラクティブ」になりました。
そして、正解が明確な分野においては、その正否の分析から次に学ぶべきものをレコメンデーションするなど、個々人に最適化された「アダプティブ」と呼ばれる形態になりました。
ここ数年は、MOOCS(ムークス)と呼ばれるような、動画配信も花盛りです(しかし最近は、1人での学習継続が難しく、終了率が高くならないことから、何となく落ち目な気も?)。
いずれにしても、膨大な数のコースが世界中でデリバリされています。
中には、課題を提出し、終了すると証明書が出るようなものもあります。
もう1つの学びの場である参加型のモノに目を向けてみると、あまたのセミナー、とくにコロナの流行によってウェビナーが目白押し。
「1~2週間の短期間のモノ」や「1~2ヵ月のやや長めのモノ」など、「セミナー+α」的な講座も増えています。
このように、「知識を獲得するための学びの方法」の拡がりの勢いは、近年すごいものがあります。
忘れてはならない"人間の性"
しかし、ここで「人間は忘れる生き物」であるということも、忘れてはなりません(笑)。
見ただけ、聞いただけのものは、短時間の間に忘れてしまいます。
いわゆる「忘却曲線」というものです。
加えて、1人で学んでいると、どうにも集中が続かない、学習が継続しないというのも、あるあるな"人間の性"です。
各所で仲間を集めた勉強会や読書会が開催されるのも、「他の人を巻き込んで何とか乗り切ろう!」という打開策としての側面もあるのでしょう。
人間は社会的な動物
とくにコロナ禍では、人間は本質的に「人間同士の関係性がとても重要な生き物である」ということを実感した方も多いのではないでしょうか。
在宅勤務関連のアンケート調査で、「気軽な雑談がなくなった」という回答がよく出てきます。
みなが自分含め人はけっこう寂しがり屋なんだということを自覚した、そんな状況でしょうか。
切磋琢磨できる関係になるには、ともに過ごす時間が大事
「人間は人間によって磨かれる」と言いますが、本当にそうだと思います。
リアルな場所で切磋琢磨するのか、オンライン上で切磋琢磨するのかは、テクノロジーの進歩で大差なくなりました。
いずれにしても、成長のためには、「リアルタイム」で会話し、議論を重ね、お互いを磨きあうという時間が不可欠なんだと思います。
そして、切磋琢磨というのは、1回や2回会ったぐらいの関係性では、なかなか実現することが難しいような気がします。
一定の期間ともに時間を過ごし、対話や議論を重ねることによって、自分のこともオープンにでき、相手のこともおもんばかることができ、自分だけでなく相手の成長にも貢献できるのではないでしょうか。
いわゆる、本音で語り合えるという状態です。
このような時代だからこそ、リアルタイムで長期間にわたり、お互いが自己開示できるような状態で、切磋琢磨できる場所をぜひ探してみて下さい。
スキルアップ
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