「政府をあげて」「全力で」「100%」「徹底的に」「守り抜く」「絶対に」「これまでにない規模」「大胆な」「前例のない」「思い切った」「きめ細かな」「全国津々浦々」「類を見ない」「不屈の覚悟で」「スピード感持って迅速に」「かつてない」・・・修飾語に切りがないスピーチ原稿もどうかと思うが、それをプロンプターで一言一句読み続けてしまう安倍首相にも、正直、やはりガッカリしてしまう。
伝わるコトバとは、その人が持っている背景から浮かび上がってくるものである。背景が濃ければ濃いほど、そのコトバの輪郭はハッキリとする。自分に無いものは伝わらない。
政治家さんや官僚のしたためる修飾のコトバは、いつも立派である。新聞に書かれ、テレビから流れてくるコトバも、いつも理路整然としている。だけど、伝わらないのである。それは、どっかよその、正しいことを言おうとしているからである。
みんな良くわかっていないことを、当事者にもなったことのない人が、とやかく言っているだけである。みんな、よそのことを、正しく言おうとしているだけである。
人は「いま、ここにある自分」以上の、自分以上に「伝わるコトバ」を紡ぐことはできない。だから「いま、ここにある自分」を見つめて話すしかないのである。「いま、ここにある自分」の中にしか「伝わるコトバはない」と謙虚になることであると思う。
安倍政権を支持する人たちにだけ伝えるなら、言葉は勇ましくて良い。しかし、非常事態宣言の今は違う。全国民の耳がダンボだ。
『表現は抑制的な方が、たくさんの人に届く』。
歴史に遺る言葉は、大抵、抑制が効いている。
人を動かす言葉は、大抵、自己否定の胚珠を持つ。
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有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役
昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。