ものやサービスの値段は時代によって変わるものです。「高い」「安い」の基準になっている貨幣の価値も時代によって大きく変わります。いつものように、さまざまな分野のものやサービスの「お値段」を比較してみましょう。 電気やガス、水道のような私たちが生活を維持していくうえで欠かせないインフラと同じく、人と人をつなぐ電話も社会の最も重要なインフラのひとつです。 インターネット通信がこれだけ普及しても、人と人がじかに会話することや、電話の重要性は変わりません。そこには人が発する「声」独特の信頼性と魅力が潜んでいるから……といえることもできるでしょう。今回は、電話料金の変遷をたどっていきます。
さらに、これまでは各社ともユーザーの囲い込みを図るため、いわゆる途中解約した場合の違約金である「2年縛り」と呼ばれる2年定期契約をはじめ、複雑怪奇ともいえるプランや割引プランなどを用意していましたが、携帯電話の契約時に店員に店頭で説明されたにもかかわらず、まったく理解しないまま使用している人も、実のところ多いようです。逆に、専門用語とたくさんの数字が入り乱れる料金体系を理解することのほうが難しいといえるのが、正直なところかもしれません。
ただし、料金プランや契約に関する総務省の要請により、携帯キャリアの過度な顧客囲い込みを抑制する方針が示され、大手キャリアでは2019年秋から「2年縛り」を設けない新プランを作ることになりました。しかしそれでも尚、複雑さは相変わらずのようですが、特筆すべきはグラフで示した通り、他国の主要都市と比較して、日本の携帯通信量が長らく群を抜いた高水準で推移してきている点でしょう。
さて、話をもとに戻しましょう。
携帯電話の急速な普及に伴い、固定電話の加入者数は激減しています。2018年度末、携帯電話の契約数は1億7307件に達していますが、固定電話の契約数は1850万件。これは平成9(1997)年にピークだった契約数の約3割になります(これにはひかり電話などのIP通信網は含まれていません)。そして2024年から、NTTは固定電話網も全面的にIP通信網に移行する計画を打ち出しています。
──いわゆる「格安スマホ」やLINEなどの新しいサービスも登場し、今後も通信のかたちは大きく変わっていくことと考えられます。ある意味、ものやサービスの価格は技術革新との競争ですが、その一方で通信業者は利益を確保しようとします。
今後とも、この分野で安定的に価格が大幅に下がるにはまだまだ時間がかかりそうですが、世界と比較して圧倒的に高いスマホ料金。この事実を知ってか知らずか、毎月請求された通りに支払い、異を唱えることがない国民性は日本ならでは、といえるかもしれませんね。
≪記事作成ライター:帰路游可比古[きろ・ゆかひこ]≫
福岡県生まれ。フリーランス編集者・ライター。専門は文字文化だが、現代美術や音楽にも関心が強い。30年ぶりにピアノの稽古を始めた。生きているうちにバッハの「シンフォニア」を弾けるようになりたい。
【記事元】
日本クラウド証券株式会社 https://crowdbank.jp
日本クラウド証券メディア マネセツ https://manesetsu.jp
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2009.02.10
2015.01.26