私たち庶民に身近な日用消費財の企業や製造業が続々と進出し始めたという。なぜいまインドなのか、その理由を探ってみよう。
また、20代や30代の彼らは消費者であるとともに、貴重な労働力でもある。進出した日本企業にとって、人件費はもっとも大きなコストのひとつとなるが、比較的低賃金ですむインドの人々を従業員として使えば、経費抑制にもつながる。
もうひとつ、最近になって日本企業が積極的に進出している背景に、インドの税制改正と外国資本参入に対する規制緩和がある。
税制では、それまで国税と州税の2本立てだった間接税が、物品サービス税として一本化されたため、税を納める企業にとって大幅な節税になっている。
また、従来は商品原価のうち一定の割合をインド国内で調達するように求める規制があったが、それが一部緩和されたのだ。
こうした税制改正や規制緩和が、外国企業に進出しやすい下地をつくっているようだ。
インド進出企業にとっての成功へのリスク
ユニクロをはじめ、インド進出ラッシュにわく日本企業だが、これから先、明るい未来ばかりが待っているのだろうか……。一部には、インドならではのリスクを指摘する声もある。
そのひとつが、インド独特のカースト制度だ。生まれや種族によって社会的階級が厳密に区分けされており、たとえば異なる階級での結婚などは難しいとされるインド。
その影響は経済活動にもおよび、経営陣や従業員が同族で占められることも当たり前で、一部の階層の既得権益が延々と維持されるなどの因習も残っている。
新興の日本企業が進出したとき、このインド独特の文化を理解していないと、企業間の不要な対立や従業員間の不和などに巻き込まれて、果ては失敗しかねないリスクがあることになる。
もうひとつは、まだまだ不十分なインフラ整備だ。もっとも基本的な道路、橋、港湾、空港などの交通機関は日本などの先進国と比べ、いまだ未整備の状態にあるため、店舗間の商品の輸送や顧客の往来に影響をおよぼしている。
また、ホテルやオフィス用ビルの設備・機能も先進国とはいえない脆弱な部分が多い。そうした条件に加えて、スマホの普及率などは貧困層と呼ばれる人々にも年々拡大しているが、その反面、一日に短時間の停電が何度も起きることは当たり前。情報、通信等の面でも、まだまだ脆弱な面は否めない。
こうしたお国柄の違いは、日本からインドに出向いて駐在する従業員にはカルチャーショックになるだろうし、時間に対する感覚もインドの人と日本人には大きな開きがある。
こうした基本的なことが、企業進出における妨げとなることも多いだろうし、円滑な企業運営にもさまざまな影響を与え、結果として業績にも影響を与える可能性が懸念される。
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