言わずと知れた世界の雄「トヨタ」。そして、日本を代表する総合家電メーカー「パナソニック」。 いずれも超巨大企業である点は共通しているものの、業種としては異なるように見える両者。しかし、住宅事業という「第三の業種」で手を取り合い、共同で新たな事業を展開しようとしていることをご存じだろうか。 新規共同事業で両者が掲げるキーワードは、未来を見据えた「スマートシティ」だ。さて、両者の思惑はいったいどこにあるのだろうか?
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共同出資会社「プライム・ライフ・テクノロジーズ」を設立
トヨタ、パナソニックとも、初めて住宅事業に参入するわけではない。
トヨタは子会社トヨタホームを持ち、同じ系列のミサワホームと合わせて2017年度の売上5529億円で住宅メーカー6位。
パナソニックもハウスメーカーパナソニックホームズを傘下に抱え、2442億円の売り上げで業界10位にランクインしている。
そういう意味では長年ライバル関係でもあったこの両者がここにきて手を取り合い、2020年1月に住宅事業に関する共同出資会社「プライム・ライフ・テクノロジーズ」を発足するという。統合すれば、戸建住宅供給戸数17000戸を誇る、国内住宅業界でトップクラスの地位を確保することになる。
トヨタは、トヨタホームを完全子会社化して、トヨタホームの株式をすべてプライム・ライフ・テクノロジーズに移管。トヨタホームの傘下にあるミサワホームについても、新しい会社に株式を移して組み込むことになる。
一方のパナソニックは、住宅関連事業を担っているパナソニックホームズ、パナソニック建設エンジニアリング、松村組の株式のすべてを新会社プライム・ライフ・テクノロジーズに移管する予定だ。
新会社プライム・ライフ・テクノロジーズの出資比率はトヨタグループ、パナソニックグループで同一とされており、今後三井物産とも協議を進めて、三井物産からの出資も目指している。
新会社の概要は、トヨタ社HPニュースリリース より抜粋した図を参照にしてほしい。
「Iot」時代にふさわしいスマートシティづくりを目指す
本来異業種とも見えるトヨタとパナソニックが手を組む理由は、大きく二つ挙げられる。
ひとつは、国内の人口減少が急激に進む中、住宅建設は今後伸び悩むと見られており、10年後には現在の60%程度にまで落ち込むとも予想されている。会社規模を拡大することでコスト削減を図り、他社との競争力を高めるのが狙い。
もうひとつのもっと大きな理由は、これから進む社会全体の「Iot」化を先取りすることで、スマートシティづくりをリードしたいという思惑が両者に強くあることだ。
ここでいうスマートシティとは、インターネット機能を街の基礎インフラや生活インフラに効率的に取り入れ、環境に配慮しながら生活の質を高め、継続的な経済発展をもたらそうとする新しい都市のこと。
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