世界最大のソーシャル・ネットワーキング・サービス「Facebook(フェイスブック)」が、仮想通貨を発行するという。 先日届いたこのニュースに世界中を驚かされた。言わずと知れた、全世界で約27億人が利用し、米国カリフォルニア州ローパークに本社を置く、SNS界のトップランナーFacebook。 “約27億人”という数字からも、同社が新しいことを何か始めれば影響力が大きいことは当然だが、よりによって今回の話題は仮想通貨だ。新しい金融システムの始まりと歓迎する見方がある一方、危険が大きすぎると否定的にとらえる向きもある。 Facebookユーザのみならず、政財界を巻き込んだ騒動になっているその中味とは……?
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2020年、「リブラ」と称する仮想通貨を発行予定
6月18日、米Facebookは「リブラ(Libra)」と称する仮想通貨(暗号通貨)を使った金融サービスを2020年から開始すると発表した。
これは、スイスのジュネーブに設立した発行団体「リブラ協会」が管理・運営にあたり、Facebookの子会社「カリブラ」が、その中核企業となる。
Facebookによれば、リブラ協会には、米カード会社の大手「VISA」や「MasterCard」、音楽配信の「Spotify」、配車サービスの「Uber」など、すでに27の団体・企業が参画を表明しており、2020年のスタート時には100団体を超える見込みだという(画像参照/リブラ協会、当面の参加予定企業・団体)。日本企業の参入も見込んでおり、各国の規制当局と協議している最中だという。
今回、Facebookが発表したリブラのしくみは次のとおりだ(図 Facebook新仮想通貨「リブラ」のしくみ)参照。
ユーザーがスマホのアプリを使ってリブラ協会に電子マネーを送金
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仮想通貨リブラが発行される
アプリ内で、手元にいくらリブラの残高があるかをいつでも確認できる
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その仮想通貨リブラを使う
たとえばFacebookのメッセージアプリ「メッセンジャー」や「ワッツアップ」の機能を利用して、家族や友人に送金したり、音楽配信サービスの支払いにあてることができる。
また、ネット上の買い物やVISAなどのカードが使える店舗では、リブラで決済も可能。
さらに、コンビニなどでリブラを現金に替えることもできるし、現金をリブラに替えることもできる。
開始時の総出資額は数十憶ドル規模になる見通し
新たに発行するリブラの基幹技術には、取引データに間違いがないかを世界中から参加者がチェックできるブロックチェーンが用いられる。
仮想通貨といえば、これまではビットコインなどが有名だったが、通貨機能よりも投機対象となったことで価値が乱高下し、それが大きな問題となったことは、ご存じの通りだ。また、一部でマネーロンダリングなどの犯罪に使われこともあり、仮想通貨は、日本では必ずしもイメージが好ましくなかった。
リブラではそうしたこれまでのいきさつを踏まえ、発行額に応じて主要通貨や主要短期国債などで100%の準備金を差し出すことを求めている。協会の運営資金として、参加企業は最低1000万ドル(約10億8000万円)を出資し、開始時の総出資額は数十億ドル規模になる見通しだ。最初から価値の裏付けを明確にすることで、極端な値動きを防ぐ狙いがある。
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