マーケティングのフレームワークを活用する際に陥りがちなパターンと、その実践的な解消のポイントを押さえていく。
ターゲット候補を抽出する切り口として、性・年齢という「属性」は、ある意味わかりやすい。しかし、その属性を持つ人がその製品・サービスを求めているのかということはわからない。
そもそも、セグメンテーションとは、属性から考えるものではない。「どんなニーズを持った人々がいるのか?」という「ニーズ」に注目するのが原則だ。そして、「そのニーズを持った人々は、どんな属性なのか?」という順番で考えるのである。
「セグメンテーションはニーズで括る」と、覚えたい。
誤用4・直感的ターゲティング
ターゲットを決める時、妙にリアリティのあるなんとなくイケそうなターゲット像が描かれることがある。ターゲットを一人の人物像を描くように詳細化するのは、「ペルソナ」という手法であり、それ自体は有効なものだ。問題は、それがいきなり描かれることなのだ。
ターゲティングの手前では、前項のセグメンテーションで複数の顧客候補が抽出されていなくてはならない。その中から明確な根拠をもってターゲットを絞り込むのがキモなのである。
代表的な絞り込みの基準としては、そのセグメント(顧客候補)の規模、成長性、波及効果、到達性、競争環境などがある。それらの基準に照らし合わせて、ターゲットを絞ったあと、それを詳細化してペルソナを作れば良い。
「ターゲット詳細化(ペルソナ)の前に、複数のセグメント(顧客候補)を評価してターゲットを選ぶ」ということを覚えておこう。
誤用5・自社都合のポジショニングマップ
「誰(ターゲット)」を狙うかが決まったら、そのターゲットに対して示すべき「価値(差別化要素)」を明確化する必要がある。それがポジショニングだ。
ポジショニングは自社の強みが発揮できる要素で2軸のマップ(ポジショニングマップ)を作るのが一般的である。その際、「何を軸にするのか?」が最大のキモであるが、ままあるのが、「自社の優位性が示せる要素」で考えてしまうことだ。自社にとって競合に対して優位性が示せるとしても、それを顧客が望んでいるとは限らない。
自社が優位性を示せるかどうかは、結果である。
まずは、「顧客の買う理由(key buying factor=KBF)で切る」と覚えておこう。
そうして軸を切ってマップを作り、優位性のあるポジションが取れるように工夫するのである。
誤用6・バラバラ4P
ここまで、環境分析→セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングと考えてきて、ようやく施策の立案である4Pの検討となる。
フレームワーク
2019.04.08
2022.02.19
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。