デザイン思考が多くの企業で取り入れられている。ロジカルシンキングやクリティカルシンキングとは何が違って何が同じなのだろうか。 ビジネスセンスを磨くための、デザイン思考を考えてみる。
つまり、デザイン思考とは、
- ①理解と共感
- ②問題の定義
- ③アイデア発想
- ④プロトタイプ
- ⑤テスト
という5つのプロセスをサイクルとして繰り返すことであり、ロジカルに、正しい結果を導いていくやり方とは、根本的に違うところだ。
また、デザイン思考では、正解とは「正しい」ことではなく、いかに関与者が満足するかということを問うものでもあり、ここも「人間中心」と呼ばれる所以なのだろう。
この5つのプロセスは、言われてみれば至極当然なことで、まず、仕事(プロジェクト)の対象に対して「どのような状況であるか、どうしたいと思っているのか」ということを理解し、共感することからスタートする。ここで共感できなければ、土台うまくいくはずがない。
そして、状況を打破し、的確なソリューションを打ち出すために、「解決すべきことは何か」「何を問題とするか」を決める必要がある。
前述のティム・ブラウンは、この問題の定義を重視するという。問題の定義とは、置き換えれば「何を問うか」ということだ。つまりいかに的を得た「問い」を立てて、その問題解決にチームを導く必要があるということだ。「問い」は小さすぎてもいけないし、大きすぎてもビジネスとしての結果を出すのは難しくなるという。
問題を定義したら、どうすれば解決できるかを考えることになる。ここで自分の中で生まれたありきたりの答えに満足し「これしかない」などと思ったら、残念だが進歩は止まっている。
自分だけではない、他の人の持つ意見をすぐに集めるべきであり、何度もブレーンストーミングを繰り返し、様々な人の意見を尊重する。新たなアイデアというのは、いつものメンバーではない人たちとのコミュニケーションから生まれることのほうが多い。積極的に様々な人たちとの交流が望まれる。
ただし、面白いアイデアが出たからといって、そこで満足していては、何も生まない。すぐにプロトタイプをつくり試してみることがより重要となる。
本当にユーザーは満足するのか、本当に問題解決の一助になったのかどうかを検証しながら、より良いアイデアを積み上げていくことが最も重要なことだ。
デザイン思考とは、関与者の満足度を引き出すことが目的であり、よりヒューマンなアプローチである。ビジネスセンスがあるというのも同じことだ。ロジカルには表せないが、「なんとなく良い」「感じがいい」。まさに、関与者がにこやかに満足するということにつながる。
ビジネスセンスを磨くには、デザイン思考のプロセスをぜひ実践してみよう。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2009.02.10
2015.01.26