ECBがフォワードガイダンスを変更!

2019.03.12

経営・マネジメント

ECBがフォワードガイダンスを変更!

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ECB(欧州中央銀行)が金融政策の変更を発表しました。3月7日開催の定例理事会で、フォワードガイダンスの変更、新たな資金供給策の発表、そして経済成長率、インフレ見通しの下方修正等の発表をしました。それぞれの項目を詳しく説明しましょう。

TLTRO-Ⅲの発動

TLTRO(貸出条件付き長期資金供給オペ)の第三弾を発表しました。昨年末で資産購入プログラムは終了を決定しています。それでこれまで景気後退局面で実施していた資金供給策であるTLTROの第三弾を発表ということになりました。金融機関はこの資金で企業を支えることになります。
今年9月から開始するこのオペは、2021年3月まで続くことになります。2年物資金供給であり、金利は主要政策金利である0.0%で資金供給されることになります。
また期日到来する資金購入プログラムの資金7,000億ユーロのロールオーバー(資金の延長)も実施することも決定しました。これもECBが景気後退懸念で企業の資金繰りに滞りが起きるのではと心配を払しょくしたい表れと言えます。

ユーロ圏の景気予測の見通しをECB経済スタッフが、ECBの声明文とドラギ総裁の記者会見で裏付け資料として同時に発表されました。下記のグラフ(出所:ECB)をご覧ください。インフレ率予想、経済成長予測を示しています。濃い青色が今回の予測ライン。薄青色が昨年12月時点の予測です。
これを見ると、インフレ、経済成長共に大幅に下方修正していることが分かります。今年はインフレ率が1.2%と前回の1.6%から大幅に下方修正、そして経済成長率も1.1%と1.7%から大幅に下方修正していますので、経済成長率は直近昨年第4四半期:1.1%成長と低成長を裏付けています。

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来年以降の予測を見ても、大きく改善する数字にはなっていないことが重要です。2.0%~3.0%成長といった米国のような高経済成長は当面期待していないことがECBスタッフの中で認識されているようです。グローバルな貿易問題の長期化、Brexitの先行きの不透明感が根底に横たわっています。

ユーロ圏は政治的不安定期に

欧州全体を見渡すと、政治的にはポピュリズムが台頭してきていることも要因と言えます。財政再建の方向に政府が向かっていても、どうしても政治的にその方針を阻止しようとの動きが出てきてしまう政治状況ではないかと思います。
独はメルケル政権が求心性を失い、来年にも政権交代しそうな雰囲気があります。またフランスもルペン党首率いる国民戦線が勢力を伸ばしていますし、スペインでは、サンチェス社会労働党(PSOE)政権が4月28日に総選挙を実施することを選択しました。これも財政再建の道筋を阻止する動きと解釈します。
スペインでは昨年末のアンダルシア州地方選挙でVOXという極右政党、つまりポピュリズム政党が誕生しました。イタリアでも政権運営に脆弱性を示していて、主要ユーロ圏の国では最も財政悪化が懸念されています。
ユーロ圏のほとんどの国々で財政再建、景気対策に積極的に政策を打てない政治状況が出てくることが予想され、それがECBの経済予測に表現されているのではと思います。

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